About

2014年9月23日火曜日

HiRPの現状と、GIS NEXT掲載のご報告



最近更新が減り気味で申し訳ありません。
模型(HiRP)に関して、色々と大きな動きが出てきておりまして、そちらに忙殺されております(←言い訳)。

昨年のG空間EXPOで確信しましたが、「モノ」を解した情報発信が世の中に広まりつつあるのは間違いないようです。3Dプリンタによる造型物を始めとした「デジタルの精度を持つアナログ」は、従来のアプリケーションツールと連動しながら、より効率的なアウトリーチに利用されることでしょう。

そうした流れに乗って、現在某メディアと連動したコンテンツ作りを進めております。
まだ発表できない内容なので詳細はかけませんが、年末から来年にかけて、驚くような模型を皆様にお見せできるかと思います。

さて、GIS NEXTという専門誌に掲載していただきました。
GIS NEXTは「地理情報から空間IT社会を切り拓く」をテーマとした地理・GISの専門情報誌です。
この雑誌の最新号で、昨年のG空間EXPOに関する特集が組まれています。

私の写真と展示内容はp. 35に載っています。
他にも授賞式の様子や、最優秀賞を受賞した牧野研究室の屋内誘導システムに関する研究、湯村翼氏のPersona Cosmos、その他多数の展示に関する記載があり、昨今の地理情報に関する技術が色々と分かる内容になっていると感じました。記事を作成して下さった方に心よりお礼申し上げます。






2014年9月18日木曜日

常陽新聞にエッセイを投稿しました

どうも半月以上更新がなくて恐縮です。
9月14日(日)の常陽新聞にエッセイを投稿させていただきました。
10面右上の「ペンでつながら心のタスキ」コーナーです。
つくば市在住の様々な人がリレー形式でエッセイを連載するという面白い企画です。
私は筑波山と3Dプリンタについて書きました。
どこかで見かけたらよろしくお願いします。



2014年8月28日木曜日

【GSJ地質ニュース記事】 レーザースキャン計測データの造形とプロジェクションマッピング展示

位置合わせ用ガイド投影の様子

レーザースキャナーにより得られたフルカラー3D点群データ投影の様子


GSJニュースの下記報告が公開となりました(PDFリンク)。


芝原 暁彦・宍倉 正展, 2014. 海岸段丘レーザースキャン計測データの3Dプリンタによる立体造形と,国立歴史民俗博物館でのプロジェクションマッピング展示について.GSJ 地質ニュース,3,no. 8,225-227. 


投影に使用している模型は、産総研の海溝型地震履歴研究チームが計測した海岸段丘のレーザースキャンデータをもとに、同研究チームが外注で三次元造型したものです。今回はこれに投影用のシステムを後付けするという形でコラボさせて頂きました。

既製の模型に投影するというのは初めてのケースで、大元の3Dデータから投影用のガイドを作成し、位置合わせなどの補正作業を行っています。

造型に使用された3Dプリンタは株式会社スリーディー・システムズ製の"SinterstationR Pro 140 SLSR Sys-tem"で行われました。この造型機はレーザー溶融粉末造形と呼ばれる手法でナイロンの粉末を積層するものです。

また今回新しい試みとして、水面標高のシミュレーションを連続的に表示する事で、波食崖の位置が徐々に移り変わる様子をアニメーションで表現しました。

この模型は今年の3月から5月まで、千葉県の国立歴史民俗博物館で行われた特別展「歴史にみる震災」にて展示され、その後地質標本館の特別展「地質アナログ模型の世界」にて引き続き展示中です。


2014年8月20日水曜日

ibeaconと位置情報を用いた、博物館・科学館におけるコンテンツ配信


現在、空間情報に携わる人々の最大の関心事の一つが「屋内における位置情報の提供」です。

昨年のG空間EXPOGeoアクティビティフェスタで新潟大学の牧野研究室が開発した「可視光通信とGPSによる高精度屋内外案内システム」が最優秀賞を受賞したことからも、こうした分野に関する関心の高さが伺えます。

こうした中、アップル社製iOS7に搭載された位置情報に関する新機能の一つとして話題になっているのが"iBeacon"です。これはBluetooth Low Energy(BLE)と呼ばれる近距離無線規格の一種を用いた屋内における位置情報サービスで、特定のエリア内に置かれたビーコン発信機との距離関係およびIDをもとに、ユーザーに合わせた情報を配信するものです。

これを使えば、店舗内の特定の位置にユーザーが来たタイミングで、そこに置かれた商品の情報を的確に配信することが可能で、場合によってはユーザーごとにカスタマイズした情報をスマホなどに表示させることも考慮そているようです。(*映画好きの方であれば、2002年に公開された「マイノリティリポート」で描写された、ユーザーごとにカスタマイズされたデジタル広告と言えばイメージが
掴めるでしょうか)。

これまで、無線LANを使用して同様の機能を実現した例はありましたが、消費電力の少ないBLEを使って高精度の位置情報を提供するiBeaconは、より手軽にこうした環境を普及させることが出来るでしょう。この機能は博物館や科学館における情報配信にも応用が期待されます。

2日前のニュースで、八景島シーパラダイスが館内に40箇所のビーコン発信器を設置し、iBeaconを駆使して水族館の生物に関する情報を配信していると告知されました8月18日から9月30日までの限定イベントですが、これが上手くいけば、常設展示にこうしたシステムを組み込んでゆく事も考えられるでしょう。AndroidとiOSの両方に対応しているというのも好感が持てます。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20140818_662402.html

これまでスマホのBluetooth機能はバッテリーを著しく消耗させるため、これを嫌ったユーザーが機能をオフにしているケースが良く見られました。しかしBLEは省電力設計となっているため、これからはbluetoothを常時Onにして、屋内位置情報を基にユーザーがシームレスに情報を受け取れる環境が整いそうです。

またビーコンの発信器側も非常に消費電力が少なく、バッテリーで数年間駆動するタイプもあり、また単価が低いことから今後急速に普及することが予想されます。

ユニークな例としては、9月の「東京ゲームショウ2014」に出展される予定の座布団型iBeacon発信器があります。これは人が座っているか否かを位置情報と共に発信する座布団で、飲食店の空き状況や座席管理、また時間ごとの顧客数の推移をモニタリングするのに役立つと期待されているようです。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20140715/1059104/

こうした位置情報と、それに付随する様々なパラメータを一元管理する事で、博物館でも様々な応用が可能となるでしょう。例えば入館者の推移や導線、どのコンテンツが人気があるのか・・・など、解析が可能となるかもしれません。ただ、個人情報を思いきり覗くことになるので、そうした方面の配慮は必要になりそうです。

いずれにしても八景島シーパラダイスの野心的な挑戦に期待大ですね。

追記:8月の終わりにシーパラダイスを訪問してみましたが、残念ながらiBeaconのコンテンツを見ることは出来ませんでした。何かの理由で公開できなかったようです。残念でした。

2014年7月24日木曜日

化石観察入門サプリメントその2:恐ろしすぎる砂漠の食中毒とその対策

 さて、今回はお世辞にも美しいとは言えない話題ですが、砂漠調査時につきものとなる食中毒のリスクについて取り上げたいと思います。

 実は2012年の調査に先立ち、2010年の春にもオマーンの調査が行われており、その際にひどい食中毒で苦しんだ方がいらっしゃったので食べ物には十分気を付けるように、との警告は事前に受けていました。私も胃腸が頑強ではない性質なので、常日頃から海外のフィールドに行く際には正露丸・緑茶・乾燥梅干しの食中毒対策セットを持ち歩いており、これらを服用することで食中毒を回避していたのですが、残念ながら中東では通用しませんでした。

 オマーンの調査は十日間の日程で行われましたが、体に異変が生じたのは調査4日目でした。その日は午前7時に朝食を済ませ、7時半に車でハジャール山脈の調査に向かいましたが、食事を取った直後から下腹部に違和感が生じ、移動中にもどんどんそれが増し、1時間後にハジャール山脈の麓に到着した頃には既に歩くのが困難な状態になっていました。そこで登山は断念し、麓の博物館で休養を取ることにしました。しかし症状は更に悪化し、ついにはトイレに駆け込んで大量に嘔吐することになります。何度も吐いているうちに、段々と吐瀉物に赤いものが混ざり始め、これはそろそろ本格的にやばいのではと感じ始めたころ、ようやく吐き気が収まりました。その後は現地の研究者の方に、砂漠を2時間かけて搬送していただき、マスカット近郊の病院で点滴などの治療を受けました。

 余談ですがオマーンの方々には伝統的な互助精神が広く浸透しており、私が苦しんでいる間にも見知らぬ人々が何かと声をかけて下さり、大変お世話になりました。こうした精神性は国内の至る所で見られ、例えば砂漠の真ん中でジオツアーをしている最中に、見知らぬ人同士が食べ物を気軽に交換するといった風景を頻繁に見かけました。中東の厳しい自然の中で生き抜くうちにこうした習慣が生まれたとのことでしたが、色々と感心させられる出来事でした。

 治療した後も数日間は食事をとることができず、スポーツ飲料と飴だけで過ごす日々が続きました。有難かったのが、砂漠の中にあるガソリンスタンドに併設された小さな売店にポカリスエットが売られていたことです。こうした時に、普段から慣れ親しんだ味と出会えるというのは何よりも嬉しいことでした。大塚製薬さんには感謝してもしきれません。

 さて、ここで問題となるのが、食中毒の原因は何だったのかということです。
 実は私が倒れる2日前に、別の研究者が同じ症状に見舞われており、また2010年に行った調査の際にもまた別の研究者が倒れるなど、2年間で都合3人が食中毒にかかったことになります。食中毒を起こした人間は全て30代~40歳前後の年代であり、同じ調査チームにいた50代~60代のベテランチームは全く平気だったというのも印象的でした。もちろん倒れた人々も日常的に世界中の劣悪な環境で調査をしており、人一倍体力には自信のある方々でした。

 後日、食中毒メンバーで原因について探ってみたところ、それぞれ別の原因を挙げました。

研究者A:ホテルのプールで泳いだところ、誤って少量の水を飲んでしまった。
研究者B:砂漠のキャンプ地に宿泊した際、支給された生焼けのオムレツを食べた。
私:調査中、シンクホール(地下で侵食が進行した結果、地表が陥没してできた穴)に溜まった水を誤って口に入れてしまった。また、研究者Bと同じく生焼けのオムレツを口にした。

 というわけで思い当たる原因は様々であり、調査から2年たった今でも食中毒の原因に関する議論は収束していません。ただ水や食物に起因する事は間違いないようで、やはりフィールドに行った際には怪しげなものを口にしないという教科書的な対策を取るしかないようです。

 なお、この調査で私は体重を6kg近く落としてしまいました。現地の研究者は「君がスリムになって帰ればワイフもさぞかし喜ぶだろうHAHAHA」と陽気に笑って下さいましたが、実際には帰国してから奥さんに滅茶苦茶心配され、その後こっぴどく叱られたのでした。

おしまい。



オマーン北東部の海岸沿いにあるビーマ・シンクホール (Bheema Sinkhole)

2014年7月23日水曜日

「化石観察入門」、お陰様で好調な滑り出しです



先週、妻と都内の書店めぐりをしてきました。

新宿の紀伊国屋、そして八重洲ブックセンターには平積みして頂いていました。
また、秋葉原のヨドバシカメラにある有隣堂書店にも、1冊入荷されていました。

つくばの書店はまだ全てチェックしきれていませんが、テクノパーク桜の友朋堂書店で平積みされているのを発見しました。学生時代を過ごした街で自分の本が売られているのはとても感慨深いものがあります。

これも皆様の応援の賜物です。
改めて、深くお礼申し上げます。

2014年7月7日月曜日

化石観察入門サプリメントその1:オマーン調査について

今回執筆した「化石観察入門」には、様々な事情で収録できなかった原稿や、ボツになったテーマ、こぼれ話などが多数存在します。
そこで、こうした話題を「化石観察入門サプリメント」と題して、書き溜めて行こうかと思います。
これらの原稿を、書籍として発表する日を夢見ながら。

第1回は、オマーンの調査についてです。
この調査は2012年の1月末から2月上旬にかけて行われたもので、オフィオライトと呼ばれる海洋プレート断面の地層を探しながら、オマーンの砂漠を車と飛行機を使って数百キロにわたり走破したものです。

オフィオライトは上から順番に、化石を含む海底堆積物、枕状溶岩などからなる溶岩層、シート状の岩脈、斑レイ岩、かんらん岩から構成される地層です。このうち、海底堆積物からはんれい岩までが海洋プレートの地殻であった部分で、かんらん岩は海洋プレートのマントル部分に相当します。はんれい岩とかんらん岩との間には、地殻とマントルの境界である「モホロビチッチ不連続面」も観測できます。

こうした地層がなぜオマーンで観察できるのかというと、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む際に、海洋プレートの一部が陸側に乗り上げたものが、オマーン北部のハジャール山脈沿いに分布しているからと考えられています。オマーンのオフィオライトは幅80km、長さ500kmにもわたって分布しており、世界最大規模を誇ります。ちなみに日本国内でも北海道や北陸などで、オフィオライトの露頭を観察することが出来ますが、これについてはまた別の機会にお話しします。

オマーン国内にはオフィオライトの最上部だけでなく、様々な場所に海底堆積物が残されています。その一部が、書籍内で紹介した厚歯二枚貝、ウニ類、そして大型有孔虫であるヌムリテスだったわけです。

これらの化石を含む露頭はどれも圧巻でしたが、中でも印象に残ったのがDuqmストーンパーク内で目にしたウニ化石でした。ストーンパーク内にはノジュールと呼ばれる球形の岩石が点在しています。岩石の直径は数十センチから数メートルと様々ですが、その表面からウニ化石が飛び出しているのです。
ウニ化石は珪化しており、母岩から九割がた飛び出しているものも見られました。

なぜウニ化石だけが選択的に保存され、ノジュールの外に飛び出すようにして完全な形を保っていたのか?今もって謎は解けていません。


Share

Twitter Delicious Facebook Digg Stumbleupon Favorites More