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2014年6月15日日曜日

福井市(旧越廼村)の足跡化石

先日、福井県の旧越廼村にある、大型哺乳類の足跡化石を見学してきました。
これは軍艦岩という景勝地にあるものです。同地では中新世の砂岩泥岩互層が約60度の角度で北西に傾斜しており、オーバーハングした層理面に多数の足跡化石が見られます。

地層が傾いているため、足跡化石の垂直断面や、足跡の凹型が侵食されて残った凸型(足跡にたまった上側の地層)を観察できる非常に特殊な場所です。足跡化石以外にも、サンドパイプと呼ばれる、巣穴の生痕化石や、植物の化石なども多数発見されています。

足跡化石を含む地層の上位からは、中新世の示準化石であるビカリアの一種が産出します。この回はウミニナ科の含まれるもので、熱帯~亜熱帯の汽水域に生活していたと考えられていますが、ビカリアが産出する層準からも偶蹄類や長鼻類の足跡が発見されており、これらの地層が常に水面下の環境にあったわけではなく、大型動物の足跡が残るような水辺のぬかるみであった時期も存在していたことを示唆しています。

海水準の上下動による環境の変化を如実に表しているよい例かと思います。
こうしたジオサイトが、もっと有名になればと思います。

なお、今回の見学および写真撮影には、高校時代の恩師であり、現在は福井高等専門学校で教鞭をとっていらっしゃる安野敏勝先生に大変お世話になりました。お礼申し上げます。



軍艦岩の砂岩泥岩互層を北東から見た様子。


長鼻類(ゾウ類)の足跡。前縁にある弧状の模様は指印と考えられている。

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