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2013年12月26日木曜日

ご報告2件 (地質標本館での立体地質模型展示と、G空間EXPO以降の状況)

 ブログを3週間も放置してしまい、誠に申し訳ありません。

 富士山の精密立体地質模型が、12月から地質標本館の第三展示室にて常設展示されていただけることになりましたので、ご報告いたします。この模型は今年の7月に鹿児島で行われたIAVCEI2013(国際火山学地球内部化学協会)での展示用に開発したもので、その後各地の展示会を転々としながら、G空間EXPOを経てようやく安住の地に落ち着いたところです。第三展示室の入り口からみて左奥にある、火山模型コーナーに展示してありますのでぜひご覧ください。
 この富士山模型は、これまでに開発したものの中では2番目に精度の高い模型になります。ちなみに現時点で最も精度が高いモデルは、9月の地質情報展みやぎで展示した蔵王の模型です。富士山や蔵王の模型の開発を通して、また色々と新たな開発アイデアが沸いてまいりましたので、来年度以降はより高精度なモデルをお見せできるように努力します。





 さて、おかげさまでG空間EXPOが終了してからの一か月間、大変多くの反響を頂いており、嬉しい悲鳴を上げております。特に論文や報告書、そしてサイエンスポータルでの記事のご依頼が多く、現在はその執筆に追われているところです。これらについては年明けから順次リリースしていく予定ですので、詳細な公開時期が決まり次第、改めてこのブログでご報告します。

 Geoアクティビティフェスタのパネルディスカッションでも話題になっておりましたが、今年はミニチュアや球体ディスプレイ、そしてロボットなどのハードウェアを介した情報発信が注目された年でした。来年はこの流れを受け、CGによる平面的な情報発信から一歩進んだ、「触れる」展示、そしてユーザーの入力に対して情報を返してくるインタラクティブな展示が注目される年になると思います。

 2013年は研究からジオパークでのアウトリーチ、そして模型の開発などの方面で本当に多くの方々のお世話になった1年でした。改めまして、深くお礼を申し上げます。
来年もどうかよろしくお願いいたします。どうぞ良い新年をお迎えください。

2013年12月4日水曜日

GSJシンポジウムとプロジェクションマッピング記事

 先週末は東京八重洲で行われたGSJシンポジウムにて、精密立体地質模型の展示をさせて頂きました。
 今回のGSJシンポジウムは「アカデミックから身近な地質情報へ」をテーマに、地質情報配信の実際や文献データの検索について、更に電子国土省を受賞した「地質図navi」の解説、防災面での応用など話題が多岐に渡り、盛況でした。
 八重洲という土地柄、という訳でも無いとは思うのですが、東京駅で行われたプロジェクションマッピングについてご存知の方が多かったように思います。デモスペースで模型をお見せすると「おっ、例のやつですね」という反応を返して下さる方が多く、説明をスムーズに行うことができました。

 ところで、先月のTech総研に「プロジェクションマッピングとエンジニアの接点」という記事が掲載されていましたのでご紹介します。昨年の東京駅でのイベントから今年のダイオウイカ関連までを網羅した総括的な記事ですので、プロジェクションマッピングについて改めて知りたい方にもお勧めです。

 この他にも、今年はプロジェクションマッピングに関する話題が例年にも増して豊富でした。
 例えばバンダイからは食玩タイプの投影機材「ハコビジョン」なども発売されました。こちらは国立博物館の特別展時と連動しているのが大きなポイントでした。
 また、東京ミッドタウンで開催されたNHK Eテレの「デザイン あ展」でも動的なプロジェクションマッピングを多用した展示が話題となりました。

 来年からは、より動的な投影を行う展示が増えてゆくと予想されます。Kinectに代表される動態検知機器も普及していることから、ユーザーの動きに反応するインタラクティブなプロジェクションマッピングも一般化してゆくのではないでしょうか。

 個人的には、G空間EXPOで展示した、GIS連動タイプの精密立体地質模型をより進化させたいと思っています。また、プロジェクターに頼らない屋外用の可視化システムも開発開発し、ジオパーク等での巡検に使用できればと思っております。

2013年11月28日木曜日

無人航空機(UAV)を用いた高詳細3D地形データの取得 その2

  またロボットネタです…。
  ブログ名が「週刊化石少年」なのに最近化石の話を全くしないじゃないのという皆様の声も聞こえてきそうですが、現在執筆中の化石に関する書籍が入稿しましたらその話題で埋め尽くすと思いますので、今しばらくご容赦ください。

 ところで先日は産総研中国センターの一般公開に出展してまいりました。現地でご一緒した開発者の方に、前回のロボットに関する記事をお見せしながらお話していたところ、何とその方は「LEGO Mind Storms鉄人テクニック」を執筆されたJin Sato先生ご本人だったという衝撃の体験をしてしまいました。本書を含め、Jin Sato先生の書籍は水上ロボットを作る際に何度も拝読し、また先生が作られたJMM-TOOLというCAMソフトウェアを使って三次元造型の勉強もしました。

  まさに「釈迦に説法」をモロにやってしまった訳でして、穴があったら入りたいほど恥ずかしい思をしてしまいました。一生思い出しては赤面する事でしょう。最近は3Dプリンタを使ったロボット開発に力を入れておられるとのことで、設計や素材の選定などについて大変勉強させて頂きました。とても貴重な経験でした。

  さて、前回の記事で「民生用のUAVを使用した地形モデル作成をDIYする時代がすぐそこに…」などと書きましたが、既に実行している方がおられましたのでご紹介します。やはり未来に生きている人々は常に存在するという事ですね。




  上のサイトを見る限りでは、Ar. Droneにて撮影した写真と、Autodesk 123Dというソフトウェアを使って地形の三次元モデルを構築しているようです。Autodesk 123Dは下記の通り無償で公開されており、手軽に3Dモデルを構築する手段としては現在最も良い選択肢ではないかと思います。
http://www.123dapp.com/

  これに限らず、写真から三次元モデルを作成するソフトウェアは有償無償を問わず、非常に優秀なものが多々リリースされております。3Dプリンタなどの出力用機材はあるものの、3Dデータが用意できないという声が多く聞こえる現状を考えると、来年度はこれらのソフトウェアがより脚光を浴びるのではないかと思います。ノウハウが蓄積されれば面白い展開になりそうですね。

2013年11月17日日曜日

G空間EXPO Geoアクティビティフェスタ 優秀賞受賞

11月14日(木)~16日(土)にかけて、お台場の未来科学館にて行われた国交省主催の「G空間EXPO2013 Geoアクティビティフェスタ」に精密立体模型3台をブース出展しました。

お陰様を持ちまして、最終日にはなんと優秀賞をいただいてしまいました。
授賞式の様子はこちらこちらでご覧いただけます。

審査員の先生方からは主に下記の点を評価して頂きました。
・技術的な完成度が高い。
・デジタルの精度を保ちながら、アナログな表示方法を併用する事で情報にアクセスしやすい。
・プロアマを問わず、対象者に情報を分かりやすく伝えられる。

まさに私が開発段階で意識していた内容そのものでして、これが皆さんに伝わったということが何よりも嬉しく感じました。受賞自体も喜ばしいことですが、それ以上に沢山の素晴らしい方々との出会いがあり、大きな刺激を受けることができました。また新しいアイデアが色々と湧き出して来そうです。

授賞式の後は、審査員の先生方と受賞者とによる60分間のパネルディスカッションが行われました。日本の人口が減少する中で、将来の「小さな社会」に向けた国土情報に関するオープンデータのあるべき姿、またSNS等を積極的に利用した空間情報の共有や、ウェアラブル端末や三次元造型体を用いた情報の運用など多くの話題について話し合い、とても有意義でした。

学生時代にふとした思い付きで故障品の三次元造型機を購入し、立体地質図模型の開発を始めててから今年でちょうど10年目となりました。この節目となる年に、素晴らしい場で発表の機会を頂き、また栄誉ある賞を受賞できたことを本当に嬉しく思います。これを励みに今後より一層励みたいと思いますので、皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。


授賞式の様子
展示ブースの様子



2013年11月15日金曜日

G空間EXPO2013


14日(木)~16日(土)の3日間、お台場の科学未来館で行われているG空間EXPO2013に参加中です。
入場無料ですのでぜひお越しください。
私は企画展示ブースBで行われるGeoアクティビティフェスタに出展しています。
精密立体地質模型を3台設置し、プレゼンに臨みます。

2013年10月30日水曜日

産総研中国センター(広島)一般公開出展のご報告

 先週末は産総研中国センターの一般公開で液状化の実験やアナグリフ地形図、岩石薄片サンプル、工作コーナーなどの展示を出展しました。
 展示の様子を中國新聞に掲載して頂きましたので、リンクを貼っておきます。何やら私が紙面を飾ってしまってますが、いいのでしょうか・・・。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201310260033.html

 また現地の小学校のオファーで、地質の講義をさせて頂きました。講義では精密立体地質模型を用いた地質図の読み方、プレートの概念、東日本大震災の震源の説明のほか、沈降管を用いた堆積実験や、広島県内で見つかったクジラ化石の解説などを行いました。

 小学校6年生の皆さんが対象でしたが、既に火成岩や堆積岩の分類を熟知しているなど非常にレベルの高い生徒さん達でしたので、こちらも力が入りました。

中国センターには内湾の津波実験を行う大規模な水槽があり、津波シミュレーションの実証などを積極的に行っています。この施設も一般公開されていました。

2013年10月29日火曜日

「量産型筑波山」 続々製造中


 「進撃の筑波山」といった感じでしょうか…。写真で見るとなかなかの迫力です。前々回の記事でお見せした筑波山の原型モデルをシリコンで型取りし、歯科用の精密石膏でコピーしたものです。

 量産型といっても、精度の面で原型モデルに大きく劣るものでは決してありません。双耳峰の構造や筑波台地と桜川低地との高低差など、全て表現できています。11月3日の講演会では、会場の皆様全員にこのモデルをお配りし、観察して頂く予定です。

現在22個製造していますが、歩留まりも発生していますので、もう少し生産を続ける予定です。
模型を使ったバーチャルジオツアーをお楽しみください。

2013年10月21日月曜日

無人航空機(UAV)を用いた高詳細3D地形データの取得


表題の件についての様々な記事や、これまでの開発経緯(=失敗談)をまとめてみました。長文です…。

 UAVとはUnmanned Aerial Vehicle、すなわち無人航空機の略称です。
 UAVの歴史は古く、第一次世界大戦時から開発がスタートしたとの事ですが、現在は官民を問わず広く門戸の開かれた分野となっています。特に21世紀になってからは民生品のラジコンを自律飛行させるキットが販売されました。またホビー分野では、Ar. DroneGALAXY VISITORなどに代表されるような個人ユースの無人機も登場しています。特にAr. Droneは優れた安定性と、タブレットやスマホを用いた手軽な操縦システム、カメラの標準搭載による空撮性能、そしてトイザらスやAmazonで手軽に購入可能という特徴から、本式のUAVに比べれば性能は低いものの、この分野の敷居を一気に押し下げた感があります。

 ラジコンを無人機に改造するキットがまだ一般的でなかった2007年ごろ、無人機を自費開発して阿寒湖の調査に挑んだことがありました。ただし航空機ではなく水上ロボットですので、正確にはUSV (Unmanned Surface Vehicle) に分類される機体でしょうか。2007年秋にはGarmin社製のGPSとレゴマインドストームによる自律誘導が可能な第一世代型USVを、また2008年夏にはイーグル社製のGPS内蔵ソナーを搭載して緯度経度と深度情報が取得できる第二世代型USVを作成し、阿寒湖の詳細な湖底地形データを取得する予定でした。また第二世代型には試験的にワイヤレスカメラを装着し、操縦者が装着したヘッドマウントディスプレイにソナーの情報が表示されるような仕組みも取り付けました。


第一世代型USV、全長約50 cm。
スクリューとファンの両用による推進。
第二世代型USV、全長約60 cm。
上部のカバーを外し、ソナーを露出させた状態。
スクリューによる推進。
第二世代型USVの先端部分。
上部のカバーを付けた状態。カバー上にワイヤレスカメラを搭載。
このカメラでソナーのディスプレイを遠隔表示。

 結果から申し上げますと、第一世代は推進力が圧倒的に不足していたせいで微弱な水流にすら逆らえずに湖面を迷走、第二世代は一定時間測定できたものの、ソナーの重みに耐えきれず船体内部に浸水したのち半壊、そして沈没(その後回収)と散々な末路を辿りましたが、それでも僅かながら地形データを取得する事が出来ました。しかしその後、仕事が忙しくなったこともあってUSVの開発は停滞しております。


 このようなショッパイ失敗談は横に置いておくとして、現在世界中でUAVやドローンを用いた地形取得の試みが進められているので紹介していきます。UAV自体の開発環境が整ったことに加え、UAVで撮影したカメラ画像から精密な三次元モデルを合成するソフトウェアを容易に入手できるようになった事も、この状況に拍車をかけていると思われます。

例えばこちらはスイス連邦工科大学の運用例です。UAVの一種であるドローンを用いて、マッターホルンの精密3Dモデルを作成しています。

この記事だとドローンの性能がよく分かりませんが、下記ITmediaの記事で紹介されているeBeeという機種とほぼ同じものだと思われます。


 またこちらはCADソフトウェアの老舗であるAutodesk社が手掛けた、UAVによる建造物の3Dモデル作成例です。



 国内でも(株)アジア航測や(株)防災技術などが非常に高精度な写真測量による三次元モデルの合成ソフトウェアをリリースしています。こちらもUAVとの親和性は非常に高いと思われます。

 また、地形図の取得とは少し違いますが、伊豆大島の火山活動観測に対してUAVUGV(無人観測車)による観測網を構築する研究も進められています。こちらもUAVを用いた情報収集例の最先端と言えるでしょう。

 なお先述のAr.Droneですが、今年の8月には次世代型のPower Editionなるものがラインナップに加わりました。この製品は飛行時間が従来の12分から36分へと3倍に延長され、更に別売のGPSフライトレコーダーを接続すれば機体の位置がリアルタイムで記録できるほか、指定した目的地点に従って自律飛行を行うことも可能になるそうです。Ar.Droneにはもともと高度センサーが搭載されているので、GPSによる誘導と組み合わせれば疑似的な地形追随飛行 (*1)も可能ということでしょうか。もしこれができれば、品質の一定した画像データを取得しながら飛行する事も容易だと思われます。AR.Drone 2.0 Power Editon の価格は約39000円、GPSフライトレコーダーは別売で約13000円だそうです。操縦範囲が実質50mでカメラの画質も限定的であるなど、本式のUAVと比べれば機能は限られるため写真測量に使用するのはまだ問題があるかも知れませんが、ここまで高機能なものが数万円で販売されているのは驚異的と言うほかありません。こういった民生品のUAVも今後どんどん進化する事でしょう。正しい使われ方がなされることを祈るばかりです…。

 いずれにしても、地形データの取得から立体モデルの作成までの工程を全てDIY (*2)できてしまう時代がもうすぐそこまで来ていると思われます。全国にある各ジオサイトの3Dモデル作成や、個人で発見した露頭のデジタル保存など、挑戦する意義はあるのではないでしょうか。私も久々にロボット開発と地形データの取得作業を再開する予定です。

*1 レーダーによって機体前方の地形を走査しながら、地表面に対して一定の高度(一般に数十メートル)を保ちつつ飛行すること。NOE (Nap Of the Earth)飛行とも呼ばれる。

*2 Do It Yourself、すなわち「自分で作る」の意。日曜大工よりも広い概念かと思われる。起源は意外に古く、第二次大戦後のロンドン復興に関する国民運動とのこと。限られた材料と科学知識で創意工夫を凝らすという意味で、某ドラマの主人公名に由来した「マクガイバリズム」というスラングが上位互換(?)となるケースも。

2013年10月16日水曜日

マイクロ筑波山 Ver. 2

という訳で前回に引き続き、筑波山の小型模型です。
前回の反省点を踏まえ、今回は造型ピッチと素材を改善しました。
素材は従来品より約1.3倍高密度なものに変更し、また工具径も前回のと比較して0.6倍細いものを使用しています(知財の関係上、詳細な説明を割愛しますことをお許しください)。

上の写真がVer. 2、下がVer. 1です。
素材の高密度化に伴って表面が滑らかになり、また等高線のエッジも明瞭になりました。
現在はシリコンで型取りし、石膏による複製を行っています。
とりあえず次回のイベントで来場者の皆さんにお配りしてテスト運用し、感触が良ければ開発を続行する予定です。お楽しみに。




2013年10月9日水曜日

小型精密立体模型の造型~マイクロ筑波山 Ver. 1

今後のイベントで使用するため、小型の精密立体模型の造型テストを行っています。
名付けて「マイクロ筑波山 Ver. 1」です。
まぁマイクロと言うほど小さくはないのですが、手のひらサイズよりも更に小型の、「指先でつまめる」サイズにしてみました。この大きさにした理由いろいろあるのですが、また後日お話します。

寸法は約49×49mmで、縮尺は約1/245000ですが、このスケールでも筑波山の特徴である双耳峰や、山麓斜面堆積物の分布などが観察できます。更に、桜川低地と筑波台地の高低差も十分把握できるのには驚きました。ちなみに高さ方向の強調倍率は1.60倍です。

少し等高線のエッジが緩いのが欠点でしょうか。見た目にもあまりよろしくないため、現在改良版のVer. 2を作成中です。このように改良点が見つかり次第、どんどん試作品を作れるところが三次元造形機の持つ最大の強みと言ってよいでしょう。

次のイベントまでに、Ver. 2を完成させて皆様にお見せしますのでご期待ください。

追記:この2時間後にVer. 2が完成し、現在シリコンで型取を行っています。等高線のエッジが明瞭になり、地形の把握が容易になりました。作業が終わりましたら写真をアップする予定です。

2013年10月8日火曜日

お知らせ:つくばエキスポセンターイベント予約終了

9月30日の記事でお伝えしました下記のイベントについてですが、本日予約者数が定員に達しましたのでお知らせいたします。
http://kasekishonen.blogspot.jp/2013/09/25-at.html

お陰様で、開催一か月前の段階で早くも予約が埋まりました。今から責任の重さをひしひしと感じております。
三次元造形と地質学の両方について講演を行うのは初めての試みです。出来るだけ分かり易く、なおかつ中身のあるイベントにしたいと考えておりますのでぜひよろしくお願い申し上げます。



2013年10月7日月曜日

三次元造形機が体験できる渋谷のFebcafeに行ってきました


 

Febcafe 公式サイト

昨日、上野の科学博物館で行われている深海展の最終日に飛び込み、その後渋谷にあるFebcafeというお店に行ってまいりました。

Febcafeはレーザーカッターを中心とした各種の造型機が設置されているカフェスペースで、データの持ち込みによる立体造型を有料で行うことが可能です。
 最近は普及型の三次元プリンタ"Cube"が体験できる店舗として雑誌等で紹介されることが多いですが、やはりメインとなるのはレーザーカッターによる高精度加工でした。ipadで作成したラインデータを刻印する体験コースもあり、初心者でも気軽に楽しめるようになっています。 Squareリーダーを介したipadでのクレジット払いにも対応していました。また、店内のスクリーンにはレーザーカッターを制御しているCAMソフトウェアの画面がプロジェクターで常に投影されており、処理内容を逐次知ることが出来る仕組みも実用的でした。

上記2つの造型機に加え、Rolandの卓上カッティングマシンも展示されており、またその隣に紙積層による富士山の立体模型が展示されていたのが印象的でした。

普及型の3Dプリンタの成果物も展示されていたのでじっくり観察することが出来ました。精度・寸法安定性とも想像していたよりは高いものの、やはり0.1~0.2mm積層では段々がかなり目立つため、精密立体地質図での導入はもう少し先になりそうです。今後普及が進み、より高精度なものが出てくることを期待したいと思います。

レーザーカッターに関してはほとんど知識がありませんでしたが、精度・静音性ともに素晴らしいものでした。レリーフ調の加工を行うには最高のツールかと思います。

こういった気軽に三次元加工を楽しめる施設がつくばにも出来ればと思います。イベントスペースとしても適したカフェでした。オススメです。今後、都内のもの作り関連施設を何軒か訪ね歩く予定ですので、また機会があればレポートしたいと思います。

2013年10月1日火曜日

地学教材「見たまま砂絵で地質図」シリーズの開発について

  GSJ地質ニュースの9月号が公開されております(https://www.gsj.jp/publications/gcn/)。今号では、今年の初めから開発を進めている児童向けの砂絵教材に関する口絵と解説の記事を2本、書かせて頂きました。砂絵の画像や詳細な利用方法等につきましてはリンク先をご参照ください。
https://www.gsj.jp/data/gcn/gsj_cn_vol2.no9_259-260.pdf
https://www.gsj.jp/data/gcn/gsj_cn_vol2.no9_279-281.pdf

簡単にご説明しますと、本教材はシール用紙に筑波山の立体地質図が印刷されており、各岩体部分のシールをそれぞれ用紙から独立して剥がせるようになっています。シールをはがすと下の台紙部分に塗られた糊が露出するため、ここに色砂を撒けば簡単に地質図の砂絵が完成します。さらに地質図の判例部分にも同じように砂を撒けるため、岩体と判例の砂を統一させる事が可能で、地図や地質図の読み方を工作しながら学べるという仕掛けになっています。

砂絵教材の開発は、地質図をいかにわかりやすく立体的なイメージを持って伝えられるか、をテーマに今年の2月からスタートしました。もともと地質標本館のOBの方の発案によるものでしたが、それを私が引き継ぐ形となりました。3月のイベントで使用することが決定していたために時間も少なく、実質的な作業時間が一週間しか取れない状況でした。

私自身、こういった教材の開発というのは初めての経験でして、所内の方々のご意見を頂きながら試行錯誤を繰り返しました。更にこの教材は、シールを剥がす仕組みになっているため、台紙の所々に刃物で薄く切り込みを入れる必要があり、その為の刃物の選定や調整等について、印刷所の方々には大変なお手数をお掛けしました。

砂絵で地質図、というコンセプトが果たして受け入れられるのかどうか非常に不安でしたが、幸いにもエキスポセンターや市内のイベントでは好評で、特につくばフェスティバルでは300部以上が消費されました。この教材は、完成した砂絵を手に実物の筑波山を観察するのが最良の方法なのですが、多くのイベントでは立体条件や天候の関係上それが困難であるため、次善の策として筑波山の精密立体地質模型によるバーチャルジオツアーを行いながら砂絵の砂絵を作っていただいています。

お陰様で続編の製作も決定し、9月に仙台で行われた地質情報展では第2弾となる「蔵王 見たまま砂絵で地質図」が公開されました。こちらも蔵王の精密立体地質模型とセットで出展され、2日間で400部が消費されました。

この教材は各地の博物館やジオパークでのアウトリーチには最適だと考えておりますが、シリーズ化出来るかどうかはまだまだ未知数の状態です。精密立体地質模型によるバーチャルジオツアーと併せて、普及に努めたいと思います。

最後になりましたが、開発にご協力いただいた方々、そして立体地質図の作図に利用した「カシミール3D」の作者であるDAN杉本さんに厚くお礼を申し上げます。

2013年9月30日月曜日

イベントのお知らせ:第25回ミーツザサイエンス at つくばエキスポセンター (講演会&ワークショップ)


11月3日(日)に、つくばエキスポセンターで講演会とワークショップをさせて頂ける事になりました。精密立体地質模型を使った富士山、筑波山などの地質解説を中心に、3Dプロッタのデモンストレーションや、筑波山の積層模型作りのワークショップなどを行う予定です。なお、作った模型はお持ち帰り頂けます。

応募方法についてですが、明日10月1日午前10時より、下記のサイトからエントリーが可能となります。皆様ぜひご参加下さい。


なお、本講演会は、つくばエキスポセンターの小林様を始めとする関係者の皆様方
のご尽力によって実現したものです。改めて厚くお礼申し上げます。

2013年9月27日金曜日

GSJ地質ニュースの記事を、勝山ジオパークのブログからリンクしていただきました


先日、ジオパークにおける精密立体地質模型の開発と応用に関する報告をGSJ地質ニュースに投稿しましたが、その記事を恐竜渓谷ふくい勝山ジオパークの公式ブログからリンクして頂きましたのでご報告します(9月10日記事)。勝山ジオパークの皆様、どうも有難うございました。

今年の上半期は模型を使ったジオパークに関する地学教育とバーチャルジオツアーを行いましたが、下半期には更に一歩進んで、防災教育などの実践的な活用が行われるようで、とても楽しみです。これに併せて、当方でもよりアピール力のあるコンテンツを新規開発して行きたいと思います。

なお、報告の直リンクは下記になります(pdfファイルが開きます)。




2013年9月25日水曜日

三次元造形の素材について

 切削型の3Dプロッタと、積層型の3Dプリンタを比較した場合、後者は素材の選択の幅が狭いというのがこれまでの傾向でした。具体的に言えば、3Dプロッタは台座に固定できる材料であれば、工具の負担にならない限り、どんな物でも切削加工できるのに対し、3Dプリンタの材料は樹脂や石膏といった特定のものに限定されていました。しかしながらこういった傾向にも変化が訪れそうです。

木の質感と匂いを3Dプリンタで再現できる! 木粉を使った新素材「ウッドライク」
 
 松浦機械製作所が開発した光造形と切削加工による金属の三次元造型機
http://www.matsuura.co.jp/japan/contents/products/lumex.html

どちらも金属や木材の微粉を使用しているもので、従来の紛体積層と本質的には同じかと思われます。しかし松浦製作所のものは、粉体積層後に、切削加工による仕上げ作業を行うことで、3Dプリンタのもう一つの弱点である加工精度の低さも克服している点が非常に注目されます。
プロユースの造型機と、普及型の3Dプリンタを単純に比較する事は到底できませんが、こういった技術の登場により、三次元造型の幅は確実に広がる事でしょう。機会があれば、精密立体地質模型にも導入してみたいと思います。 

 *なお、近年テレビ話題の臓器や食品の造型に関しても思い起こされますが、これらは別系統の技術ですので、次の機会に取り上げたいと思います。

2013年9月24日火曜日

記事紹介:3Dプリンタから生まれた世にも不気味な失敗作12選

http://youpouch.com/2013/09/21/135302/?utm_campaign=Partner%3A+msn&utm_medium=partner&utm_source=msn

7月にも同じような記事をご紹介しましたが、Makeのサイトにも3Dプリンタの失敗作に関する記事が掲載されていました。

今年になって普及が進んでいる、いわゆる低価格3Dプリンタは、フィラメント状の樹脂を熱で溶解して積層するタイプであるため、ピッチの設定や造型時間によってはこのような失敗作が生まれることもあるのでしょう。

この記事では、こういった失敗作も前衛的な作品として位置付けていますが、ノウハウの蓄積という意味でも、こういった失敗例を記録しておくことは意義のあることかと思います。


 

「地質情報展2013みやぎ」終了のご報告と、三次元造型機の話題1件

先日お知らせしました地質情報展2013は無事終了しました。

開催期間となった913日~16日の間は、台風の接近に伴って非常に厳しい天候となりましたが、2000人を超える方々にお越し頂きました。

会場にお越し下さった皆様、仙台市科学館の方々には心よりお礼申し上げます。また、Facebookの記事をシェアして下さった方々も有難うございました。

今回出展した蔵王砂絵地質図の工作コーナーは、お陰様でかなりの反響をいただきました。この砂絵地質図は、今年の初めに開発した筑波山の砂絵地質図の工作キットが予想外の高評価を頂いたため、砂絵シリーズの第二弾として、今回の地質情報展用に開発したものです。

会場では蔵王の地質解説を行いながら地質図を作成し、その後会場内に設置した精密立体地質模型を見ながら周囲の地質や地形についてより深くご説明しました。

会場で伺ったお話によると、地元の小学校で三次元プリンタの導入が既に始まっているとの事でした。どのような授業に使用するかまでは分からなかったのですが、非常に刺激的な試みだと思います。
小学校でも三次元造型の授業が行われる時代になり、DTMがより身近ものとなることは確実だと思います。そのような時代に何を作り、何が可視化できるのかを、標本館の視点から発信して行ければと思います。

追記:会場では「あまちゃん」に登場する三陸ジオパーク内の露頭についても数多くの質問を頂きました。私自身がドラマを全く見ないので、一般的な回答しか差し上げることが出来ず申し訳ありませんでした…。自分の不勉強を恥じるばかりであります。

2013年9月9日月曜日

「地質情報展 2013 みやぎ 大地を知って明日を生かす」出展のお知らせ




















今年も地質学会&地質情報展の季節がやってまいりました。
今回の開催地は仙台市の「スリーエム仙台市科学館」です。

多数の体験コーナーが出展されますが、私は蔵王火山のコーナーを担当します。
御釜周辺の立体地質図を作れる砂絵コーナーや、蔵王火山の立体模型など展示します。
開催期間は9月14日午後~9月16日午前です。
詳しい内容については下記をご参照ください。
https://www.gsj.jp/event/2013fy-event/miyagi2013/index.html

皆様のご来場を心からお待ちしています。

2013年9月6日金曜日

マイクロソフトが開発した"IlllumiRoom"とプロジェクションマッピング

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1304/30/news036.html

IlllumiRoom(イルミルーム)とはマイクロソフトが開発した視覚効果技術の一種で、簡単に言えば部屋中にプロジェクションマッピングを施して、映像への没入感を高めるシステムです。今年の春にMicrosoft Researchから論文が発表されたこともあって話題となりました(下記PDF)。
http://research.microsoft.com/en-us/projects/illumiroom/illumiroom_chi2013_bjones.pdf

この種の多面的な立体表示システムとしてはすでにCAVEが知られており、産総研やJAMSTECなどで有効な可視化手段として利用されています。
http://www.nissho-ele.co.jp/product/cave/

これに対してIlllumiRoomは、Microsoft Researchの論文やレビューを見る限り、ゲームや環境映像といった分野での利用を主眼としているようです。しかし同じくゲームの入力デバイスとして発売されたKinectが、瞬く間に3Dスキャナへと進化したように、こちらも学術情報の可視化システムへの進化が期待されます。

IlllumiRoomの最大の特徴は、Kinectによって部屋の形状データを取得し、それに合わせて画像情報を能動的に合致させながら投影することで、凹凸の多い住宅環境でも自然な投影を可能としている点でしょう。見方を変えれば、博物館などにおいて、展示物を頻繁に変えながら、その形状に合わせたプロジェクションマッピングを行うことも可能になりそうです。

ただ、Kinectの距離計測範囲(Kinect SDK使用時850~4,000mm、OpenNI使用時500~10,000mm)を考慮した場合、あまり広い展示室での使用には適していない可能性もあります。照明環境などによって精度が左右されやすい機器であるため、このあたりの調整も難しそうですね。
手元にKinectが1台ありますので、暇をみて実験してみたいところです。

あまり博物館関係では話題になっていないようですので、取り上げてみました。


2013年9月4日水曜日

アジアサイエンスキャンプ2013見学対応終了

 先日お知らせした、つくば市におけるアジアサイエンスキャンプ2013の見学対応についてですが、無事終了いたしました。

 非常に多彩な国籍と専門知識を持った方々に来ていただきました。私が担当した学生さんは生物学と工学を目指す方が多く、化石のコーナーや太平洋の海底地形のコーナーで多くの質問を頂きました。

 とても熱心な方々が多く、各コーナーで質疑応答を繰り返しながらの見学対応となったため、予定されていた1時間はあっという間に過ぎ去りました。急ぎ足で回ったため、一つ一つのコーナーをじっくり見ていただくことが出来ず申し訳ありませんでしたが、また機会があればぜひ標本館においで頂ければと思います。

 私もとても充実した時間を過ごさせていただきました。皆様どうもありがとうございました。


追記:↓のリンクにもあるように、とても高レベルで学際的なプロジェクトです。今回、つくば市を舞台にこのような試みが行われ、それに参加させて頂いた経験はとても刺激的でした。また機会がありましたらよろしくお願いいたします。



http://www.tsukuba-sci.com/?p=18053

2013年9月3日火曜日

磐梯山噴火記念館にて、火山巡回展がスタートしました

 今年の春に地質標本館で行われていた霧島火山の特別展時ですが、いよいよ火山巡回展として日本全国を回る旅がスタートしました。

最初に展示を行って下さるのは、福島県の「磐梯山噴火記念館」です。同館は磐梯山の迫力あるジオラマや、SONYとのタイアップによる全周囲モニタを利用した映像展示など、火山学に関連した展示が有名です。

同館の佐藤 公先生より、展示の様子を撮影した画像をお送りいただきましたので、掲載します。佐藤先生、どうも有難うございました。皆様、磐梯山にお越しの際はぜひどうぞ。
追記:大変残念ですが、精密立体地質模型の展示は諸般の事情により、噴火記念館での展示を見合わせることになりました。次の巡回地では展示可能となるよう調整してまいります。まことに申し訳ございません。


パネル展示の様子



 パネル展示とビデオ映像(ビデオ映像の解説については下記をご参照ください)
http://kasekishonen.blogspot.jp/2013/07/blog-post_29.html


火山弾の展示

精密立体地質模型に関する記事(GSJ地質ニュース8月号、リンクあり)

芝原 暁彦(2013)三次元造型技術とプロジェクションマッピングを用いた精密立体地質模型の開発と,博物館およびジオパーク地域での活用.GSJ 地質ニュース,2,no. 8,243–248.
https://www.gsj.jp/data/gcn/gsj_cn_vol2.no8_243-248.pdf

 GSJ地質ニュースに投稿した記事がweb上で公開されていますのでお知らせします。
 この記事は2011年末~2012年中ごろまでに開発した内容を大まかにまとめたものです。現在特許出願中であるため具体的な技術内容には触れていませんが、学会や博物館などでの応用例について出来るだけ広範に書かせて頂きました。

 今年に入ってから低価格3Dプリンタの発売が話題となったり、三次元造型やプロジェクションマッピングに関するテレビ特集が組まれたりするなど、この分野の技術に関する認知度が急速に高まりました。これに加えて、8月末に6周年を迎えたボーカロイド・初音ミクなどに代表される消費者生成メディア (Consumer Generated Media :CGM) の浸透や、高品質3Dモデル共有サイトの普及、更にはDMM.comによる3Dプリントサービスの開始など、もの作りに対するハードルが格段に下がった感があります。おそらく数年以内に、もっと早ければ来年の前半には、個人で立体物を作成するという行為自体は珍しいものでは無くなっているかも知れません

 そんな時代、学術情報をいかに効果的かつ高精度に可視化するか、そしていかに魅力的かつ先進的なコンテンツを博物館で展示してゆくかが問われることになると思います。皆様に驚きを持って見て頂けるような新しい技術を現在も開発中ですので、どうぞご期待ください。

追記:他の精密立体地質模型については、近日中に地質学雑誌に掲載されます。また、筑波山の精密立体地質模型に関してもGSJ地質ニュースの9月号に掲載予定です。

2013年9月2日月曜日

英国地質調査所が取り組む3Dデータの配信


本トピックに関して、8月31日付でギズモード・ジャパンに記事が掲載されたのですが、自分の周囲では意外に盛り上がっていませんので、こちらでご紹介しておきます。
 英国地質調査所のサイトでは以前から地質情報の三次元データに関する啓蒙やデータ配信が熱心に行われていましたが、ついに今年の8月から化石の三次元データの配信が開始されました。

 この試みは"The GB3D Type Fossils Online project"と呼ばれ、今年の8月22日にロンドンで行われたイベントで正式にキックオフされたとのことです。
 本プロジェクトにおいて特筆すべきは、"Type Fossils"すなわちタイプ標本の配信が行われているという事でしょう。タイプ標本とは生物に対して分類学上の学名を与える際に基準となる標本の事で、これをオンラインで共有できるというのは非常に意義深いことです。

 これまで化石標本を国外の研究機関とやり取りする事は非常に神経を使う作業でした。輸送中の紛失や損壊、空港での没収などで貴重な化石を失った経験は私自身も何度かあります。しかし標本のデータ化と共有が今後一般化すれば、こういったリスクからも解放され、より多くの研究者が化石情報に関して幅広く議論できる環境が整うように思います。

 まだ収録されている三次元データは少なく、有孔虫などの微化石に関しても整備はこれからのようですが、素晴らしい試みだと思います。個人的には、昔ロンドン自然史博物館のバックヤードで見せてもらった、チャレンジャー号探検航海で採取された放散虫の標本などアップしてくれたら嬉しいですね。

The GB3D Type Fossils Online project
http://www.3d-fossils.ac.uk/home.html

その他、地質情報の三次元的可視化に関する試み
http://www.bgs.ac.uk/services/3Dgeology/

2013年8月30日金曜日

等高線ワイヤーフレームモデルの投影画像

 1990年代にパソコン少年だった世代の我々にとって、CRTディスプレイの黒い背景に浮かび上がるグリーンのソースコードや3Dのワイヤーフレーム画像というのは、それだけで非常に刺激的な光景でした。かつてのPCは電源を入れればROM-BASICが立ち上がり、そこにベーマガに載っているプログラムリストなどを打ち込んで楽しんだものでした。

 写真の画像はそういった時代を懐かしみつつ、シャレで作ったモデルです。しかしながら以外にも現場でのウケが良く、各地のアウトリーチで使用しています。数値標高モデルから抽出した緑色の等高線を黒い背景に合成し、立体模型に投影してワイヤーフレーム調にしているだけなのですが、等高線が密になる箇所ほど見かけ上の輝度が上がり、傾斜が強調されることから、等高線と地形の凹凸を理解するのに非常に役立つという予想外の効果が得られました。

 もちろん正確な地形を理解するには、赤色立体地形図に代表される優れた地形図の投影が最適であることは言うまでもありません。しかしこういった手軽に生成できるコンテンツもそれなりに有効であることが分かりましたので、ご紹介しておきます。もしご興味のある方がいらっしゃいましたらご連絡ください。


ワイヤーフレームモデルの投影








5万分の1地形図の投影(比較用)




2013年8月28日水曜日

アジアサイエンスキャンプ2013 見学対応

明日29日(木)、アジアサイエンスキャンプ2013に参加している高校生~大学生の皆さんが標本館に来られるそうなので、英語で館内案内を担当します。

アジアサイエンスキャンプとはアジア地域の各国から集まった200人の学生さんたちを対象に、つくば市の研究者が講演やセッションを行う試みで、8月末の5日間行われます。

今年はつくば市でこういった催しが毎日のように行われていて、非常に刺激的です。




地質標本館 地球何でも相談

先週の土曜日に、夏休みイベントである「地質標本館 地球何でも相談」が行われました。
岩石学、鉱物学、古生物学、地層学、火山学その他なんでも、地球科学に関することなら相談できるというリッチなイベントです。

まつりつくばと日程が重なったにも関わらず、朝からたくさんの方々にお越しいただきました。
私は微化石担当だったのでそれほど出番は無いかと思っていましたが、予想に反していわき市の有孔虫(Amphicoryna fukushimaensis)の鑑定を頼まれたり、アルテミアやトリオプスの飼育に関する質問を受けたりなど、なかなか充実した一日を過ごさせて頂きました。

夏休みも残り少なくなってきましたが、みなさん良い思い出を。

https://www.gsj.jp/Muse/eve_care/2013/soudan/soudan2013.html

2013年8月21日水曜日

まつりつくば2013のバーチャルサイエンスツアーは今週末上映予定です

再告知になりますが、先日収録したつくば市バーチャルサイエンスツアーの映像が、今週末のまつりつくば2013で上映される予定です。上映場所はノバホールです。
筑波研究学園都市50周年記念特別企画として、ロボットHALの展示実演、映画「宇宙兄弟」や「ロボジー」なども同時上映されるとのことです。
詳しくは下記にて。

http://www.tsukubaexpress-ibaraki.jp/topics/post_1622.html


2013年8月20日火曜日

つくばサイエンスツアーバスの特別講演は無事終了しました

前々回の投稿でお知らせしましたつくばサイエンスツアーバスの特別講演ですが、本日無事終了しました。おかげさまで大変盛況でした。

特別講演は地質標本館の映像室で行われ、化石を用いたクイズや地層の話、そして今回初めての試みとなった書画カメラを用いた微化石の観察なども行いました。書画カメラの解像度とズームの性能が非常に高いことから、Uvigerina akitaensisの体構造も十分観察可能でした。さらにStainforthia feylingiなど、0.1mm程度の非常に微小な有孔虫化石群集についても、細かな構造の把握までは難しいものの、視認する事が出来ました。有孔虫の大きさや多様性について十分分かっていただけたかと思います。

その後は館内見学と、標本室での質疑応答を行いました。さすがに地質学への関心の高い方々が参加されるだけあって質問が途絶えることがなく、あっという間に2時間半が経ちました。当初の予定では時間が余ってしまうかと心配したのですが、全く杞憂に終わりました。とても充実した時間を過ごすことが出来ました。

つくばエクスプレス沿線にお住いの方々も多かったと思います。これをきっかけに、東京方面からもより多くの方が標本館に来てくださればと思います。
皆さん本当にありがとうございました。

2013年8月14日水曜日

初代画像投影システムの写真が出てきました

2011年に作成した初代のポータブル型画像投影システムです。
それまではL字型のアングルで組んだ櫓を借りてきて、そこに据え付けた業務用のプロジェクターから地形模型に画像を投影していました。

しかし自前の投影システムが必要になったため、ヤフオクで3Mのポケットプロジェクターを落札し、自作の投影用フレームに自由雲台とともに設置して完成させたのが写真の物です。

フレームの組み立てに際しては、工学システム課出身でロボコンの参加経験もある妻から色々と意見をもらいました。二人でジョイフル本田に行って材料を選びながら創意工夫したのも良い思い出です。

まだ焦点距離や角度の微調整機能もなく、地形モデルも石膏性であったため精度は限定的でしたが、このポータブルタイプで色々と試行錯誤した結果、地形情報を利用した画像と立体物のシンクロナイズに関する様々なアイデアが生まれました。

このフレームは更に次の世代の投影システムに流用してしまったため現存しません。
プロジェクターの性能も画面解像度が640×480pixで明るさが15ルーメンと、現行モデルには遠く及ばないものですが、本体内部のSDカードからのデータ読み出しや単三乾電池駆動など利点も多いため、今後も授業などには活用できるかなと思っています。

以上、昔話でした。


2013年8月13日火曜日

つくばサイエンスツアーバスの特別イベントで講演します

各地の駅にポスターが貼られているのでご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、夏休み限定の「TX&サイエンスきっぷ」の発売に合わせ、つくば市の各研究機関で夏休みの特別イベントが行われます。

8月20日に開催される「夏休み・地図と化石を学ぼう!」では、私が講演会を担当させて頂く事になりました。普段目にすることのない珍しい化石や、関東を形作る地質について、標本を触りながら楽しく学べる講演会にする予定です。

20日のイベントは既に予約が終了していますが、9月1日まで「つくばサイエンススタンプラリー」も開催されています。夏の小旅行にいかがでしょうか。

つくばサイエンスツアーオフィス
http://www.i-step.org/tour/cgi-bin/news/news.cgi?num=53&act=disp


 つくばサイエンスツアーバス
http://www.i-step.org/tour/event/index.php?id=355&ym=20138  

2013年8月2日金曜日

つくばインターナショナルスクールで授業を行いました

つくばインターナショナルスクールの授業を終えて戻ってまいりました。
昨年の授業が好評だったのことで、今年もご依頼を頂きました。非常に嬉しいことです。
英語での授業は毎回緊張しますが、私自身のスキルアップにもなるのでこれからも続けたいと思っています。

今年は恐竜に関する質問が非常に多かったため、標本館の化石コレクションに加えて、始祖鳥ベルリン標本のレプリカや自前の恐竜化石などを持参して授業を行いました。

学校側でもかなり恐竜に特化した授業をやっていたようで、殆どの生徒さんが恐竜の下位分類に関する基礎知識を既に持っていましたので、本日のクラスでは恐竜の発掘方法や肉食恐竜の歯の観察方法など、かなりマニアックな授業を行いました。

恐竜の他にもフタバスズキリュウやマチカネワニなど、国産の大型化石についても話が及び、盛況でした。

つくばインターナショナルスクール (TIS) サマーキャンプ告知ページ
http://tis.ac.jp/about/summer-camp/

2013年7月29日月曜日

ビデオ配信のお知らせ(霧島火山巡回展)

いつもとは違ったお知らせです。
地質標本館で4月~5月末まで行われ、7月からは全国で巡回展が行われる「地質標本館 第三回火山巡回展 霧島火山」の資料映像が、産総研地質調査総合センターのサイトで配信されています(https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2013/openfile0581.html)。

映像の編集は・・・僭越ながら私が担当させていただきました。
私が学生時代、趣味でやっていた分野をご存知の方は納得されるかと思いますが、随分と編集の腕が落ちてしまったと反省しております(苦笑)。

火山噴火時に発生する空振(空気の振動)の映像を分かりやすくするため、Adobe Aftereffectのモーショントラッキング機能を使った解説も行ってみました(映像シーン2分11秒~2分20秒頃)。

いつもとは違うお仕事になりましたが、こうして無事GSJ研究資料集として登録していただけたのは大変嬉しいことです。ご興味のある方はぜひご覧ください。

2013年7月23日火曜日

IAVCEI2013 (国際火山学会) 出展中!





IAVCEI2013に出展するため、鹿児島に来ています。
会場では、富士山をはじめとする日本各地の火山地質図のほか、
先週完成したばかりの富士山の精密立体地質模型も展示中です。
今回の精密立体地質模型では、ポリゴン数を従来よりも約2.5倍高密度にしました。
また新しい試みとして、オルソ補正をかけたASTER衛星画像の投影も行っています。
(なぜ今までやらなかったのかというツッコミも受けそうですが・・・)。

昨日までは凄まじい暑さでしたが、本日は気温も少し落ち着いています。
お近くの方、ぜひお越しください。

2013年7月19日金曜日

イベント予告:国土地理院主催「G空間EXPO」 inお台場 

11月14日(木)~16日(土)の3日間、お台場の日本科学未来館にて「G空間EXPO 2013」というイベントにプレゼンターとして出展させて頂けることになりました。

G空間情報とは、我が国の日常生活や経済活動に欠かせない位置と時間の情報"いつ・どこ情報"を意味し、これを広く利用できる社会、すなわち「G空間社会」(地理空間情報高度活用社会)を目指して、産学官の連携で行われるイベントが「G空間EXPO」です。

私が出展するのは「Geoアクティビティフェスタ」という部門で、全国から選抜された30名弱のプレゼンターが、地理空間情報の活用に関する最新のアイデアや活用事例、研究成果等について3日間プレゼンテーションを行い、最優秀賞を目指します。

今回の展示では、精密立体地質模型のシステムはもちろん、国内外での博物館やジオパークでの活用事例、開発の経緯や展望、そして特許を出願したばかりの最新型地質模型まで、3日間という時間をフル活用して幅広く展示する予定です。

学生時代から三次元造形を初めてちょうど10年近くが経ちましたが、今回の展示はこれまでの活動の真価が問われる重要な節目であると認識していますので、全力を尽くしていきたいと思います。皆様ぜひご覧ください。
以下、公式サイト
http://www.g-expo.jp/
Facebook公式:https://www.facebook.com/pages/G%E7%A9%BA%E9%96%93expo/106769629515282?ref=stream&hc_location=stream
Twitter公式:https://twitter.com/g_expo

2013年7月16日火曜日

つくば市「バーチャルサイエンスツアー」に出演しました

本日、表題の収録を終えてきました。
バーチャルサイエンスツアーとは、つくば市内の各研究機関や広報施設を仮想体験でする試みで、8月末のまつりつくば2013にて初公開される予定です(下記)。またその後は都内各所でつくば市のPR用素材として使用されるとのことです。
http://www.matsuri-tsukuba.com/timetable/20130824-2/

本日の収録では地質標本館の見どころを3分間にわたってご紹介しました。
最終的にどのようなコンテンツに仕上がるのかは私もまだ分からないのですが、非常に意欲的な試みだと思います。もしどこかで見かけたら、よろしくお願いいたします。

2013年7月9日火曜日

恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク公式サイトに掲載されました

先日、福井県勝山市で行った課外授業の内容についてですが、恐竜渓谷ふくい勝山ジオパークの公式サイトにも掲載されていました。下記公式ブログの、6月28日(金)の記事をご覧ください。
http://www.city.katsuyama.fukui.jp/geopark/news/


気づくのが遅くなりまして申し訳ありません。ジオパーク推進協議会の皆様、本当にどうも有難うございました。
また、模型の活用方法について建設的なご意見を多数いただいた荒土小学校の先生方にも改めてお礼申し上げます。

2013年7月8日月曜日

御蔵島の自然と文化博物館での立体模型展示 (旧ブログ記事に追記)




 御蔵島は伊豆諸島に位置する、原生林に覆われた自然豊かな島です。
少し前の話になりますが、この島に設立された「御蔵島わくわく自然資料館」に設置する御蔵島体模型の製作を依頼されました。当時はまだ地質標本館に来て一か月余りで、アウトリーチのイロハすら理解していない頃でしたが、ネイチャーセンターリセン理事長の岩間先生をはじめ多くの方々のご支援を頂いて、2か月後の2011年8月に模型を完成させることが出来ました。当初の模型は石膏製でしたが、2012年7月にはケミカルウッド性のものに変更し、精度と見栄えを向上させました。その後、岩間先生から現地での展示の様子を撮影した写真を送っていただきましたので、このブログにも転載します。

御蔵島はイルカウォッチングを始めとしたネイチャーツーリズムを楽しめる島です。現地にお越しの際は、ぜひご覧ください。
http://mikura-isle.com/

Web博物館である「御蔵島の自然と文化博物館」も公開されていますので、リンクを貼っておきます。
http://mikura-museum.info/

2013年7月1日月曜日

3Dプリンターの失敗作品を一挙公開(引用)

二週間ほど前になりますが、Gizmodoに面白い記事がありました。

「驚愕! 3Dプリンターの失敗作品を一挙公開」
http://topics.jp.msn.com/digital/gizmodo/column.aspx?articleid=1898926

こういった失敗作品を公開するのは、素晴らしい試みだと思うのです。
三次元造型機が決して「魔法の箱」ではない事が良く分かります。
地質情報を立体化する際にも、モデルの精度や造型ピッチ、材料、工具の選定など、色々と考慮する事があり、まだまだ経験に頼らざるを得ない場面が多々あります。将来的にはこういったものも最適化、自動化されるのでしょうが、三次元造型機で新しい製品のプロトタイプを作り続ける以上は、人の手による細かい調整が常に必要になるかと思います。

記事中にもありますが、3Dプリンティングには技術や経験が必要となることを知ってもらう為の最も分かりやすいアウトリーチだと思います。実際のところ、「データ入力すれば自動で造形してくれるんでしょ?暇な時にパパッと作っちゃってよ~」といった依頼も結構あるという話を耳にしますんで・・・(涙)。三次元造型にかかる人的コストを少しでも理解して頂けるきっかけになれば嬉しいですね。
この企画考えた人に惜しみない拍手を送りたいと思います。

2013年6月27日木曜日

福井県での授業、講演会は無事終了しました。

前回の記事でご紹介しました福井県での授業と講演会ですが、おかげさまで無事終了しました。

6月21日(金)に行われた授業では、勝山市立荒土小学校5年生の生徒さんを対象にした、精密立体地質模型を使った授業を行いました。短い時間ではありましたが、地質図の読み方や地形と地質との関わり、地層の堆積実験、デジタル顕微鏡を用いた微化石とストロマトライトの観察等、非常に盛り沢山な内容となりました。日頃から担任の大塚先生がとても熱心な授業を行われているため、生徒さんたちのレベルも非常に高く、充実した授業となりました。

なお授業の様子は中日新聞(日刊県民福井)のWebサイト上でご覧いただけます。
http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/local/CK2013062202000202.html
「児童驚く地質遺産 日本ジオパーク認定の勝山」

この他、福井新聞さんも紙面にて非常に詳細な記事を書いてくださいました。

22日(土)は勝山市内のジオサイトを巡検し、続く23日(日)は福井大学にて精密立体地質模型の講演を行いました。こちらも中学・高校時代の恩師をはじめ、県内の名だたる研究者の皆様から模型に関する貴重なご意見を頂くなど非常に充実しました。

今回の試みは、精密立体地質模型を用いた初の授業および講演という事で非常に緊張しましたが、お陰様で無事終了させることができました。

恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク推進協議会の皆様をはじめ、福井大学の先生方、荒土小学校の皆様のお力添えが無ければ全く実現不可能なことばかりでした。改めて、皆様に深くお礼申し上げます。


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