About

2014年12月31日水曜日

サイト紹介:NHK御嶽山「噴火の証言」

NHKが御嶽山の噴火に関するサイトを公開していたのでご紹介します。
御嶽山で被災された方々の写真や証言を時系列順に、3D地形図上にマッピングしたものです。

非常に多くの方々が亡くなった災害ですし、私も火山の専門ではないのでこの件について多くは語れません。
しかし、このサイトようなコンテンツは将来的な防災情報として大きな意味を持っていると感じます。

http://www3.nhk.or.jp/news/ontake2014/

2014年12月23日火曜日

NHKで精密立体地質模型を使った番組が放送されます

NHK・BSプレミアムで2015年1月1日午後9時30分より放送される
「凸凹探検で謎解き!裸にしたいTOKYO」
に技術協力させていただきました。 http://www4.nhk.or.jp/P3344/

この番組ではスタジオ内に設置した3m四方の東京地形模型に、地形図や古地図、地質図などの情報を精密にプロジェクションマッピングし、過去十数万年間の地形変動や、人類史について探ります。この模型システム製作に際し、特許の技術移転なども行いました。

とにかく、巨大模型にクレーンカメラで迫る映像は圧巻の一言です。ぜひご覧ください。
1月31日の午後1時30分からも、再放送されます。
皆様のご協力なしには全く実現不可能なことでした。改めて、お礼申し上げます。

 

2014年12月21日日曜日

カンボジア・コンポンチャム州教員養成所での授業の様子

カンボジアでの地質模型による実践授業を行いました。
模型を観察するだけでなく、校内にある玄武岩や石灰岩の観察やサンプリング、そしてメコン川流域での模型と実際の地形比較や河川調査なども行いました。
模型の活用方法や授業の進め方についてはネイチャーセンターリセンの皆様に多大なアドバイスをいただきました。おかげさまで大成功です。ありがとうございます。
写真撮影:ネイチャーセンターリセン宮川皓子氏

*その他の写真はFacebookの方をご参照ください。

2014年12月8日月曜日

カンボジア模型造形終了

前回の日記でご紹介したモデル(コンポンチャム周辺地域)の造型が終了したのでプロジェクションマッピングのテストを行っている様子です。

写真の画像のほか、衛星画像や陰影地形図、5mコンター画像、そして地質図を投影する予定です。
今回はこのほかにカンボジア全体の模型も造型してあります。
まずコンポンチャム周辺の地形を紹介したあと、カンボジア全体の地形の特徴(平野が山脈に囲まれたフライパン型の地形)と、地質の多様性についてお話できればと思っています。


段彩図(5m毎)および河川データの投影テスト
 
投影前の状態

2014年12月1日月曜日

立体地質模型 in カンボジア (12月10日~13日)

来週の12月10日~13日、カンボジアのコンポンチャム教員養成所(RTTC)で精密意立体地質模型HiRPを用いた講演を行います。

カンボジアでは歴史的経緯により、理科教員の数が極めて少なくなっておりました。
しかし昨今の急速な経済発展による国力の回復と、それに伴って発生した環境問題により、再び自然科学に対する関心が高まっています。

今回の講演ではこうしたニーズに応えるため、立体模型を用いたカンボジア全土の地質、メコン川流域の地形などについてRTTCに所属する学生の皆さんに講義を行います。
模型には衛星画像や地形段彩、One Geologyの地質図データをプロジェクションマッピングする予定です。

模型による観察のあとは、現地のメコン川流域でフィールドワークを行い、基本的な岩石の観察方法や地形のデータ化、河川調査の基礎的な方法などについてお話できればと考えています。

今回の講義が、HiRPの実質的な海外デビューとなります。
いささか緊張していますが、奮闘してまいります。

なお、今回の講演はNPO法人ネイチャーセンターリセンさんが行うカンボジア王国コンポンチャム中学教員養成所における実践的環境教育プロジェクトとして実施させていただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

下図モデル:コンポンチャムを中心とした約80×123kmの地域
衛星画像

5m段彩図


 

2014年11月14日金曜日

産総研Todayに掲載されました



HiRP (精密立体地質模型)の概要と現状について書いた記事を産総研Todayに掲載して頂きました。本当に嬉しいことです。

学生時代にこの広報誌を読んで、自分が掲載されている様子を夢見ていたことを思い出します。

皆様のご支援があったからこそ、精密地質模型が大きく育ちました。厚くお礼申し上げます。


目次

2014年10月30日木曜日

筑波山クレイモデルとミニプロジェクションマッピング (つくば産業フェア報告)

さて、10月25日、26日につくばカピオで行われた産業フェアが無事終了しました。

当日は「筑波山を作ってみよう」を合言葉に、クレイモデル工作を行いましたが、お蔭様で2日間で400人近い方々にお越しいただき、用意していた材料が予備も含めて全て無くなるという嬉しい悲鳴を上げる結果となりました。

49mm角のミニ筑波山については昨年末より開発を開始し、こちらこちらでご紹介しております。
今回はさらに精度を上げ、等高線1段あたり約0.04 mmで造型してみました。

この模型からシリコンで作ったキャストにプラスチック粘土を押し付けることで簡単に筑波山の模型を作ることができます。完成した模型にプロジェクションマッピングも行い、なかなか好評でした。

極小サイズのプロジェクションマッピング。
筑波山の地質図を投影。






















左から原型、キャスト、粘土によるレプリカ。
模型の大きさは49mm四方、縮尺1/24,000、
鉛直方向強調倍率約1.94倍。







2014年10月19日日曜日

ラヂオつくば公開授業「化石・地質学の世界を3Dで見てみよう ――博物館・研究施設における、三次元造型技術ーー」

今年もつくばコミュニティ放送株式会社(ラヂオつくば)で毎年行われている公開授業「サイエンスQ」で講演することになりました。

予定日は明日10月21日、場所はつくばみらい市伊那中学校です。総勢95名の生徒さんが対象です。
前回の授業では地質・古生物学の一般的な講義ののち、それらの3D化について簡単な説明を行いましたが、今回の授業では3D化の部分をより膨らませた内容にしたいと考えています。

大英博物館などで行われている模式標本のデータ配信や、それらを用いた化石観察の方法についても時間の許す限り、解説します。

いずれにしても、ただしゃべるのではなく、標本を触って楽しめる実践的な授業内容にしたいと考えています。授業の様子は、後日ラヂオつくばで放送される予定です。

とりあえず、授業で使用予定の、三葉虫3Dデータの写真をご覧ください。
それでは。





2014年10月13日月曜日

イベントお知らせ: つくば市産業フェア「筑波山クレイモデル」 工作コーナー

1/240,000スケール筑波山モデル
鉛直方向強調倍率1.94倍

既にTXつくば駅をはじめ、各所にポスターが貼られているのでご存知の方も多いかと思いますが、10月の25(土)・26日(日)につくば市カピオで「つくば市産業フェア」が開催されます。

産総研からはアザラシ型ロボット「パロ」、床下探査ロボット「DIR-3」、そして地質標本館からは下記の出展を行います。

1.工作コーナー(5cm角の精密な筑波山クレイモデル)
2.プロジェクションマッピング型の筑波山地質模型

今回の最大のウリは、筑波山のレプリカを皆さんの手で作って頂けることです!
筑波山山頂を中心とした12km四方の地域を1/240,000縮尺で造型したものですが、この大きさでも筑波台地の形がはっきりと見えます。
精密造型の世界を一緒に楽しみましょう。
会場でお待ちしています。



産業フェアチラシ(pdf)


2014年10月8日水曜日

【お知らせ】 OYOフェア2014 at 秋葉原

明日10月9日より2日間、秋葉原UDXにて応用地質株式会社の展示会「OYOフェア2014」が開催されます。
「社会に潜むリスクの"見える化"」をテーマに、「長周期地震動」と「三次元地質解析」を重点的なテーマとした様々なセミナーや展示が行われます。
私は東京都の地形および地下構造をテーマとしたプロジェクションマッピング展示に協力させていただきました。東京オリンピックを控え、首都の地質構造を改めて見直す絶好の機械かと思います。

http://www.oyo.co.jp/oyofair2014/menu4.html
皆様ぜひよろしくお願いいたします。



2014年9月28日日曜日

TGS2014参加報告

東京ゲームショウ2014に参加してきました。
目的は妻が開発に関わっているゲームの展示ブースの見学だったのですが、その他にもインターフェースがらみで様々な展示があり、予想外の収穫を色々と得ることが出来ました。

企業展示ブースの他に、大学機関で行われている可視化関連のポスター発表などもあり、興味をそそられました。

中でも秀逸だったのが東京工科大学のポスター発表で、ゲーム中におけるハチ(蜂球)の挙動表現に関する研究や、ユーザーの筋電などをモニターしてゲームのコンテン ツにリアルタイムでフィードバックする技術など、ゲームの開発に留まらない分野融合を主眼とした研究内容には大きな可能性を感じました。

その他にもオキュラス(Oculus VR)やプレイステーション4用ProjectMorpheusなどのヘッドマウントディスプレイなど、話題のハードウェアに関する展示が目白押しでした(長蛇の列だったので遠目で眺めるだけになりましたが・・・)。

こうしたエンターテイメント関連の発表は、博物館関係者としても非常に得るもの大きいです。

2014年9月23日火曜日

HiRPの現状と、GIS NEXT掲載のご報告



最近更新が減り気味で申し訳ありません。
模型(HiRP)に関して、色々と大きな動きが出てきておりまして、そちらに忙殺されております(←言い訳)。

昨年のG空間EXPOで確信しましたが、「モノ」を解した情報発信が世の中に広まりつつあるのは間違いないようです。3Dプリンタによる造型物を始めとした「デジタルの精度を持つアナログ」は、従来のアプリケーションツールと連動しながら、より効率的なアウトリーチに利用されることでしょう。

そうした流れに乗って、現在某メディアと連動したコンテンツ作りを進めております。
まだ発表できない内容なので詳細はかけませんが、年末から来年にかけて、驚くような模型を皆様にお見せできるかと思います。

さて、GIS NEXTという専門誌に掲載していただきました。
GIS NEXTは「地理情報から空間IT社会を切り拓く」をテーマとした地理・GISの専門情報誌です。
この雑誌の最新号で、昨年のG空間EXPOに関する特集が組まれています。

私の写真と展示内容はp. 35に載っています。
他にも授賞式の様子や、最優秀賞を受賞した牧野研究室の屋内誘導システムに関する研究、湯村翼氏のPersona Cosmos、その他多数の展示に関する記載があり、昨今の地理情報に関する技術が色々と分かる内容になっていると感じました。記事を作成して下さった方に心よりお礼申し上げます。






2014年9月18日木曜日

常陽新聞にエッセイを投稿しました

どうも半月以上更新がなくて恐縮です。
9月14日(日)の常陽新聞にエッセイを投稿させていただきました。
10面右上の「ペンでつながら心のタスキ」コーナーです。
つくば市在住の様々な人がリレー形式でエッセイを連載するという面白い企画です。
私は筑波山と3Dプリンタについて書きました。
どこかで見かけたらよろしくお願いします。



2014年8月28日木曜日

【GSJ地質ニュース記事】 レーザースキャン計測データの造形とプロジェクションマッピング展示

位置合わせ用ガイド投影の様子

レーザースキャナーにより得られたフルカラー3D点群データ投影の様子


GSJニュースの下記報告が公開となりました(PDFリンク)。


芝原 暁彦・宍倉 正展, 2014. 海岸段丘レーザースキャン計測データの3Dプリンタによる立体造形と,国立歴史民俗博物館でのプロジェクションマッピング展示について.GSJ 地質ニュース,3,no. 8,225-227. 


投影に使用している模型は、産総研の海溝型地震履歴研究チームが計測した海岸段丘のレーザースキャンデータをもとに、同研究チームが外注で三次元造型したものです。今回はこれに投影用のシステムを後付けするという形でコラボさせて頂きました。

既製の模型に投影するというのは初めてのケースで、大元の3Dデータから投影用のガイドを作成し、位置合わせなどの補正作業を行っています。

造型に使用された3Dプリンタは株式会社スリーディー・システムズ製の"SinterstationR Pro 140 SLSR Sys-tem"で行われました。この造型機はレーザー溶融粉末造形と呼ばれる手法でナイロンの粉末を積層するものです。

また今回新しい試みとして、水面標高のシミュレーションを連続的に表示する事で、波食崖の位置が徐々に移り変わる様子をアニメーションで表現しました。

この模型は今年の3月から5月まで、千葉県の国立歴史民俗博物館で行われた特別展「歴史にみる震災」にて展示され、その後地質標本館の特別展「地質アナログ模型の世界」にて引き続き展示中です。


2014年8月20日水曜日

ibeaconと位置情報を用いた、博物館・科学館におけるコンテンツ配信


現在、空間情報に携わる人々の最大の関心事の一つが「屋内における位置情報の提供」です。

昨年のG空間EXPOGeoアクティビティフェスタで新潟大学の牧野研究室が開発した「可視光通信とGPSによる高精度屋内外案内システム」が最優秀賞を受賞したことからも、こうした分野に関する関心の高さが伺えます。

こうした中、アップル社製iOS7に搭載された位置情報に関する新機能の一つとして話題になっているのが"iBeacon"です。これはBluetooth Low Energy(BLE)と呼ばれる近距離無線規格の一種を用いた屋内における位置情報サービスで、特定のエリア内に置かれたビーコン発信機との距離関係およびIDをもとに、ユーザーに合わせた情報を配信するものです。

これを使えば、店舗内の特定の位置にユーザーが来たタイミングで、そこに置かれた商品の情報を的確に配信することが可能で、場合によってはユーザーごとにカスタマイズした情報をスマホなどに表示させることも考慮そているようです。(*映画好きの方であれば、2002年に公開された「マイノリティリポート」で描写された、ユーザーごとにカスタマイズされたデジタル広告と言えばイメージが
掴めるでしょうか)。

これまで、無線LANを使用して同様の機能を実現した例はありましたが、消費電力の少ないBLEを使って高精度の位置情報を提供するiBeaconは、より手軽にこうした環境を普及させることが出来るでしょう。この機能は博物館や科学館における情報配信にも応用が期待されます。

2日前のニュースで、八景島シーパラダイスが館内に40箇所のビーコン発信器を設置し、iBeaconを駆使して水族館の生物に関する情報を配信していると告知されました8月18日から9月30日までの限定イベントですが、これが上手くいけば、常設展示にこうしたシステムを組み込んでゆく事も考えられるでしょう。AndroidとiOSの両方に対応しているというのも好感が持てます。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20140818_662402.html

これまでスマホのBluetooth機能はバッテリーを著しく消耗させるため、これを嫌ったユーザーが機能をオフにしているケースが良く見られました。しかしBLEは省電力設計となっているため、これからはbluetoothを常時Onにして、屋内位置情報を基にユーザーがシームレスに情報を受け取れる環境が整いそうです。

またビーコンの発信器側も非常に消費電力が少なく、バッテリーで数年間駆動するタイプもあり、また単価が低いことから今後急速に普及することが予想されます。

ユニークな例としては、9月の「東京ゲームショウ2014」に出展される予定の座布団型iBeacon発信器があります。これは人が座っているか否かを位置情報と共に発信する座布団で、飲食店の空き状況や座席管理、また時間ごとの顧客数の推移をモニタリングするのに役立つと期待されているようです。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20140715/1059104/

こうした位置情報と、それに付随する様々なパラメータを一元管理する事で、博物館でも様々な応用が可能となるでしょう。例えば入館者の推移や導線、どのコンテンツが人気があるのか・・・など、解析が可能となるかもしれません。ただ、個人情報を思いきり覗くことになるので、そうした方面の配慮は必要になりそうです。

いずれにしても八景島シーパラダイスの野心的な挑戦に期待大ですね。

追記:8月の終わりにシーパラダイスを訪問してみましたが、残念ながらiBeaconのコンテンツを見ることは出来ませんでした。何かの理由で公開できなかったようです。残念でした。

2014年7月24日木曜日

化石観察入門サプリメントその2:恐ろしすぎる砂漠の食中毒とその対策

 さて、今回はお世辞にも美しいとは言えない話題ですが、砂漠調査時につきものとなる食中毒のリスクについて取り上げたいと思います。

 実は2012年の調査に先立ち、2010年の春にもオマーンの調査が行われており、その際にひどい食中毒で苦しんだ方がいらっしゃったので食べ物には十分気を付けるように、との警告は事前に受けていました。私も胃腸が頑強ではない性質なので、常日頃から海外のフィールドに行く際には正露丸・緑茶・乾燥梅干しの食中毒対策セットを持ち歩いており、これらを服用することで食中毒を回避していたのですが、残念ながら中東では通用しませんでした。

 オマーンの調査は十日間の日程で行われましたが、体に異変が生じたのは調査4日目でした。その日は午前7時に朝食を済ませ、7時半に車でハジャール山脈の調査に向かいましたが、食事を取った直後から下腹部に違和感が生じ、移動中にもどんどんそれが増し、1時間後にハジャール山脈の麓に到着した頃には既に歩くのが困難な状態になっていました。そこで登山は断念し、麓の博物館で休養を取ることにしました。しかし症状は更に悪化し、ついにはトイレに駆け込んで大量に嘔吐することになります。何度も吐いているうちに、段々と吐瀉物に赤いものが混ざり始め、これはそろそろ本格的にやばいのではと感じ始めたころ、ようやく吐き気が収まりました。その後は現地の研究者の方に、砂漠を2時間かけて搬送していただき、マスカット近郊の病院で点滴などの治療を受けました。

 余談ですがオマーンの方々には伝統的な互助精神が広く浸透しており、私が苦しんでいる間にも見知らぬ人々が何かと声をかけて下さり、大変お世話になりました。こうした精神性は国内の至る所で見られ、例えば砂漠の真ん中でジオツアーをしている最中に、見知らぬ人同士が食べ物を気軽に交換するといった風景を頻繁に見かけました。中東の厳しい自然の中で生き抜くうちにこうした習慣が生まれたとのことでしたが、色々と感心させられる出来事でした。

 治療した後も数日間は食事をとることができず、スポーツ飲料と飴だけで過ごす日々が続きました。有難かったのが、砂漠の中にあるガソリンスタンドに併設された小さな売店にポカリスエットが売られていたことです。こうした時に、普段から慣れ親しんだ味と出会えるというのは何よりも嬉しいことでした。大塚製薬さんには感謝してもしきれません。

 さて、ここで問題となるのが、食中毒の原因は何だったのかということです。
 実は私が倒れる2日前に、別の研究者が同じ症状に見舞われており、また2010年に行った調査の際にもまた別の研究者が倒れるなど、2年間で都合3人が食中毒にかかったことになります。食中毒を起こした人間は全て30代~40歳前後の年代であり、同じ調査チームにいた50代~60代のベテランチームは全く平気だったというのも印象的でした。もちろん倒れた人々も日常的に世界中の劣悪な環境で調査をしており、人一倍体力には自信のある方々でした。

 後日、食中毒メンバーで原因について探ってみたところ、それぞれ別の原因を挙げました。

研究者A:ホテルのプールで泳いだところ、誤って少量の水を飲んでしまった。
研究者B:砂漠のキャンプ地に宿泊した際、支給された生焼けのオムレツを食べた。
私:調査中、シンクホール(地下で侵食が進行した結果、地表が陥没してできた穴)に溜まった水を誤って口に入れてしまった。また、研究者Bと同じく生焼けのオムレツを口にした。

 というわけで思い当たる原因は様々であり、調査から2年たった今でも食中毒の原因に関する議論は収束していません。ただ水や食物に起因する事は間違いないようで、やはりフィールドに行った際には怪しげなものを口にしないという教科書的な対策を取るしかないようです。

 なお、この調査で私は体重を6kg近く落としてしまいました。現地の研究者は「君がスリムになって帰ればワイフもさぞかし喜ぶだろうHAHAHA」と陽気に笑って下さいましたが、実際には帰国してから奥さんに滅茶苦茶心配され、その後こっぴどく叱られたのでした。

おしまい。



オマーン北東部の海岸沿いにあるビーマ・シンクホール (Bheema Sinkhole)

2014年7月23日水曜日

「化石観察入門」、お陰様で好調な滑り出しです



先週、妻と都内の書店めぐりをしてきました。

新宿の紀伊国屋、そして八重洲ブックセンターには平積みして頂いていました。
また、秋葉原のヨドバシカメラにある有隣堂書店にも、1冊入荷されていました。

つくばの書店はまだ全てチェックしきれていませんが、テクノパーク桜の友朋堂書店で平積みされているのを発見しました。学生時代を過ごした街で自分の本が売られているのはとても感慨深いものがあります。

これも皆様の応援の賜物です。
改めて、深くお礼申し上げます。

2014年7月7日月曜日

化石観察入門サプリメントその1:オマーン調査について

今回執筆した「化石観察入門」には、様々な事情で収録できなかった原稿や、ボツになったテーマ、こぼれ話などが多数存在します。
そこで、こうした話題を「化石観察入門サプリメント」と題して、書き溜めて行こうかと思います。
これらの原稿を、書籍として発表する日を夢見ながら。

第1回は、オマーンの調査についてです。
この調査は2012年の1月末から2月上旬にかけて行われたもので、オフィオライトと呼ばれる海洋プレート断面の地層を探しながら、オマーンの砂漠を車と飛行機を使って数百キロにわたり走破したものです。

オフィオライトは上から順番に、化石を含む海底堆積物、枕状溶岩などからなる溶岩層、シート状の岩脈、斑レイ岩、かんらん岩から構成される地層です。このうち、海底堆積物からはんれい岩までが海洋プレートの地殻であった部分で、かんらん岩は海洋プレートのマントル部分に相当します。はんれい岩とかんらん岩との間には、地殻とマントルの境界である「モホロビチッチ不連続面」も観測できます。

こうした地層がなぜオマーンで観察できるのかというと、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む際に、海洋プレートの一部が陸側に乗り上げたものが、オマーン北部のハジャール山脈沿いに分布しているからと考えられています。オマーンのオフィオライトは幅80km、長さ500kmにもわたって分布しており、世界最大規模を誇ります。ちなみに日本国内でも北海道や北陸などで、オフィオライトの露頭を観察することが出来ますが、これについてはまた別の機会にお話しします。

オマーン国内にはオフィオライトの最上部だけでなく、様々な場所に海底堆積物が残されています。その一部が、書籍内で紹介した厚歯二枚貝、ウニ類、そして大型有孔虫であるヌムリテスだったわけです。

これらの化石を含む露頭はどれも圧巻でしたが、中でも印象に残ったのがDuqmストーンパーク内で目にしたウニ化石でした。ストーンパーク内にはノジュールと呼ばれる球形の岩石が点在しています。岩石の直径は数十センチから数メートルと様々ですが、その表面からウニ化石が飛び出しているのです。
ウニ化石は珪化しており、母岩から九割がた飛び出しているものも見られました。

なぜウニ化石だけが選択的に保存され、ノジュールの外に飛び出すようにして完全な形を保っていたのか?今もって謎は解けていません。


2014年7月6日日曜日

情報コミュニケーション学会お礼

7月5日の情報コミュニケーション学会第13回研究会にて招待講演をさせていただきました。
会場では、HiRP展示用のスペースまで設けていただき、非常に恵まれた環境でお話することができました。

演者は私の他にも、国外でeラーニング関係の会社を立ち上げた方や、国内外の名だたる大企業でマネジメントを経験された方など素晴らしい方揃いで大変緊張しましたが、お蔭様で非常に充実した講演となりました。

今回の経験で、今後進むべき道が段々と明確になってきました。
今年の後半は、こうした分野に活路を見出すべく、新しい行動を色々と起こしていきたいと考えております。

講演の機会を与えて下さった明治大学の阪井先生、次世代大学教育研究会の原田先生、LACEの佐良木先生、情報コミュニケーション学会の高見澤先生、そして会場でお会いした皆様に厚くお礼を申し上げます。
有難うございました。






会場で展示した磐梯山のHiRPシステム


2014年7月3日木曜日

情報コミュニケーション学会 第13回研究会にて講演します

7月5日(土)に明治大学で行われる、情報コミュニケーション学会 第13回研究会にて、下記のテーマで特別講演をさせていただきます。

13:50-14:30: 特別講演2
3D造型による立体模型とプロジェクションマッピングを用いた、
空間情報の可視化と伝達について
  芝原暁彦(独立行政法人 産業技術総合研究所)

明治大学の阪井和男先生にお声掛けいただき、今回の講演が実現しました。この場にて厚くお礼申し上げます。

講演内容は、HiRPを使った地質情報の可視化についてですが、前回と同じ内容というのも申し訳ないのでGISとHiRPの連動させたインタラクティブな展示の実演を行おうかと考えております。
また3Dモデルを用いた化石情報の共有についてもご紹介できればと思っています。

その他にもモバイルとソーシャルを使った教育や、宿泊サービス、アパレルビジネス、スキル学習など、情報コミュニケーションに関する学際的な議論が交わされる研究会で、今から大変楽しみにしております。

皆様ぜひよろしくお願いいたします。



三葉虫(カリメネ属)の3Dレーザー計測


























CTスキャンによる、海底コア中の生痕化石の3Dデータ化

2014年6月30日月曜日

特別展「アナログ地質模型の世界」のお知らせ


さて、いよいよ情報が解禁となりましたので、お知らせいたします。
地質標本館では7月15日より、夏の特別展「地質アナログ模型の世界」を開催いたします。

本特別展では地質情報を三次元化したアナログ模型の数々を展示します。
もちろん、HiRPシステムも下記4点を出展します。
1.つくば市周辺地域巨大模型(筑波山~霞ヶ浦地域の120x90cmモデル)
2.富士山模型(IAVCEI2013、G空間EXPO等で展示した30x30cmモデル)
3.筑波山模型(市内の科学イベント等で展示している30x30cmモデル)
4.見物海岸立体模型(3Dプリントされた模型に海水準変動のアニメーションを投影す50cmx50cmモデル)

他にも、Nゲージの縮尺に合わせて作られた地質ジオラマや、関東・関西の地下を再現した基盤構造モデルなど、とにかく「模型」をメインとした、標本館では前代未聞の特別展です。

今回は、配布用のパンフレットも非常に凝ったものとなっています。
なるべく分かりやすく、を合言葉に、デアゴ○ティーニ的な割付にしてみました。
ページ数も44ページと力作です。

お子様にも楽しんでいただける特別展だと思いますので、皆様ぜひお越しください。

2014年6月29日日曜日

「化石観察入門」7月15日発売予定です



しばらく更新が滞っておりまして申し訳ありませんでした。
下記の書籍を仕上げるため、ずっと仕事場にこもっておりました。

芝原暁彦著 「化石観察入門」
http://honto.jp/netstore/pd-book_26244948.html

7月15日に発売される予定です。
入門書にしてはかなり濃密というか、マニアックな内容となっております。

この本の執筆にあたっては、多方面の方々から強力なご支援をいただきました。
研究所内の方々や各大学の先生方には貴重な標本写真をお借りしました。また小学・中学・高校時代にお世話になった先生方には、当時いただいた標本の情報を使用させて頂いております。特に高校時代の恩師である安野敏勝先生には、福井県で先生が発見された足跡化石に関して現地で詳細にご指導いただきました。

また、ミドリシャミセンガイの資料がなくて困り果てていた時には素晴らしい偶然に救われました。
リフレッシュのために訪れた空手道場で稽古していた折、たまたまご一緒していた先輩弟子にあたる方が、この生物のご専門であることが判明し、すぐに論文を送って頂いて原稿が完成したのです。

また、この本の随所で使用されているサーベルタイガーの頭骨写真は、日本大学で教鞭を取っていらっしゃる村瀬先生にお借りしたものです。彼との出会いは、小学生時代に通っていた公文式の教室以来の付き合いである朝倉氏の紹介によるものです。

こうした数々の出会いに恵まれつつ、本書が完成したことは本当に嬉しいことです。
現在、Amazon、セブンイレブン、Lawsonほか、書籍を扱っているサイトでは随時情報が解禁されているようです。もちろん、一般書店にも並ぶ予定です。

詳細が判明しましたら、またご紹介します。
皆様どうも有難うございました。



2014年6月27日金曜日

メモ:プロジェクションマッピングに関する話題

プロジェクションマッピングが話題になって久しいですが、対象物の特性を生かした投影を行っている例がまだまだ少ない気がします。今回は



1.3Dプロジェクションマッピングの新境地!!動く板に映し出される驚きの世界!!!
https://www.youtube.com/watch?v=lX6JcybgDFo


2.高校生がプロジェクションマッピングをやってみた第6弾
https://www.youtube.com/watch?v=snLGEzpNlYM





*今回のネタは京大の坪田 康先生が運営していらっしゃるMLから引用させていただきました。お礼申し上げます。

2014年6月15日日曜日

福井市(旧越廼村)の足跡化石

先日、福井県の旧越廼村にある、大型哺乳類の足跡化石を見学してきました。
これは軍艦岩という景勝地にあるものです。同地では中新世の砂岩泥岩互層が約60度の角度で北西に傾斜しており、オーバーハングした層理面に多数の足跡化石が見られます。

地層が傾いているため、足跡化石の垂直断面や、足跡の凹型が侵食されて残った凸型(足跡にたまった上側の地層)を観察できる非常に特殊な場所です。足跡化石以外にも、サンドパイプと呼ばれる、巣穴の生痕化石や、植物の化石なども多数発見されています。

足跡化石を含む地層の上位からは、中新世の示準化石であるビカリアの一種が産出します。この回はウミニナ科の含まれるもので、熱帯~亜熱帯の汽水域に生活していたと考えられていますが、ビカリアが産出する層準からも偶蹄類や長鼻類の足跡が発見されており、これらの地層が常に水面下の環境にあったわけではなく、大型動物の足跡が残るような水辺のぬかるみであった時期も存在していたことを示唆しています。

海水準の上下動による環境の変化を如実に表しているよい例かと思います。
こうしたジオサイトが、もっと有名になればと思います。

なお、今回の見学および写真撮影には、高校時代の恩師であり、現在は福井高等専門学校で教鞭をとっていらっしゃる安野敏勝先生に大変お世話になりました。お礼申し上げます。



軍艦岩の砂岩泥岩互層を北東から見た様子。


長鼻類(ゾウ類)の足跡。前縁にある弧状の模様は指印と考えられている。

2014年6月3日火曜日

恐竜足跡3Dデータの配信(南メソジスト大学)

足跡化石を発見した際には、輪郭のトレースおよび指の長さや指間角の測定を行い、シリコンや石膏などで型取りを行います。

また最近では荒川 (2002) などのように、非接触型のレーザースキャナーによって露頭面の足跡化石を三次元計測し、解析を行うこともあります。
かつて野外での三次元計測など夢のような話でしたが、ハンディタイプのレーザースキャナーの登場により、こうしたことも可能になりました。


また南メソジスト大学 (Southern Methodist University :SMU)では、レーザ計測によって得られた3Dモデルの一部を配信しています
(Adams et al., 2010, http://palaeo-electronica.org/2010_3/226/index.html)。

あくまでも論文のAppendixという位置づけなので数は多くないのですが、体化石だけでなく生痕化石のデータも配信されるというのは、古生物学上とても意義のあることです。

恐竜だけでなく、大型の哺乳類や鳥類の足跡化石なども充実させたDBを作って、全てを横断検索出来るようになれば、古生態の研究に役立つのではないでしょうか。


とりあえず、落としたデータをmeshlabで読み込んだ画像を貼ってみます。


色情報がとれるレーザー計測機もありますが、これのハンディタイプが登場すれば、野外で完全な3Dデータをすぐに収集できるでしょう。
将来的にはハンマーとレーザースキャナを腰に差してフィールドを歩く日が来る・・・のか?

Adams, T., Strganac, C., Polcyn, M.J., and Jacobs, L.L. (2010) High resolution three-dimensional laser-scanning of the type specimen of Eubrontes (?) glenrosensis Shuler, 1935, from the Comanchean (Lower Cretaceous) of Texas: implications for digital archiving and preservation. Palaeontologia Electronica, 13.

Yohei Arakawa, Yoichi Azuma, Akihiro Kano, Toyohisa Tanjiri and Takami Miyamoto (2002) A new technique to illustrate and analyze dinosaur and bird footprints using 3-D digitizer. Memoir of the Fukui Prefectural Dinosaur Museum, 1, 7-18.

2014年5月26日月曜日

GSJ(産総研地質調査総合センター )のサイトに掲載されました

ここ最近の研究成果について、産総研地質調査総合センターのサイトに掲載して頂きました。
研究所の公式なホームページに自分の名前が載るというのは本当に嬉しいことです。

今回の掲載に際しては、産総研の皆様に多大なご支援いただきました。心よりお礼申し上げます。


以上、取り急ぎご報告します。

2014年5月15日木曜日

第93回次世代大学教育研究会にてプロジェクションマッピングに関する発表をします




5月17日に早稲田大学で行われる第93回次世代大学教育研究会で発表させて頂きます。
この研究会に参加させて頂くのは初めてですが、今回のテーマが映像作品やプロジェクションマッピングという事で、早稲田大学の原田先生、京都大学の坪田先生からお誘いいただきました。有難うございます。

発表時間は30分なので多くをお見せする事は出来ませんが、出来るだけ模型を使用しながら網羅的な解説を行いたいと思います。

プロジェクションマッピングの専門家が集まるという事なので、今から楽しみです。
こうした試みがどんどん増えてゆくと良いですね。

2014年5月13日火曜日

【動画あり】 アプリ"Seene"がアップデート、スマホのみで3Dモデルが構築可能に




iphoneアプリとしてリリースされている"Seene"がアップデートされ、ソリッドモデルデータの構築が可能になったようです。

これまでも複数枚の写真から3Dモデルを合成するアプリや、写真を疑似的にレリーフ化するアプリはありましたが、Seeneは写真撮影からモデル構築までの流れをよりシームレスに行えるように洗練された感があります。

このアプリに限らず、最近はwindows8のカメラ機能なども対象物をなぞるようにして撮影し、3Dモデルを構築する技術が発達しているようですね。3D関連のアプリとしては一つの到達点と言えそうです。

Seeneの概要についてはこちらに書かれています。また公式サイトのFAQによれば、対応機種はiPhone 4S, 5, 5c and 5s、iPad3以降のタブレットとiPad mini、および最新版のipod Touchとのこと。 なおAndroid用のアプリは現在開発中だそうです・・・。

公式サイトには"SHARE LIFE IN 3D"と書かれており、今後はこういったアプリで手軽に3DモデルをSNSで共有する時代になるのでしょう。

問題は何に使うか?ですが・・・その話題はまた後日。









2014年5月9日金曜日

【動画あり】プロジェクションマッピングの意義について考える?バンダイ製「ハコビジョン」ガンダムと初音ミクバージョン



株式会社バンダイが発売している食玩「ハコビジョン」については、以前こちらの記事で国立博物館とのタイアップに関してお伝えしました。
その後機動戦士ガンダムをテーマとした2つ目のバージョンをゲットしましたので、遅まきながらレビューしたいと思います。

結論から言いますと、500円という価格でデジタルな「覗きからくり」式のコンテンツを楽しめる商品でした。以下、本商品の長所と短所について述べてみます。

【良かった点】
・500円という低価格でありながら、同梱されているフィギュア(レリーフ)の質、ハーフミラーの精度などは良好で、投影する映像も多彩な演出が盛り込まれており、玩具としての買い得感はある。
・箱の組み立て、Youtubeからの映像読み込み、投影までにかかる時間はわずか数分であり、ユーザーフレンドリーな設計である。
・ガンダム周辺には多面体のレリーフが仕込まれており、辺上もしくは面上に映像を重ね合わせる事で動的な演出が行われ、ユーザーを飽きさせない工夫がなされている。

【悪い点】
・映像の演出が過剰。レリーフの全面に動画を投影するシーンが多く、あちこちが動くので、逆にフィギュア部分の立体感を把握しづらい。フィギュアの一部のみに映像を投影するシーンが数か所あったが、こちらの方が見やすく感じた。
・映像が多彩だが、コンセプトが分かりづらい。ガンダムの周辺でSDのザクがコミカルに戦うシーンがあるかと思えば、ガンダム全体が花と蔓に覆われるシーン(東京都フラワーガンダムの再現?)があるなど、様々な演出とシチュエーションが楽しめるが、逆にスケールの統一感を損ねている感もある。

このように良い点と悪い点が半々ぐらいの商品かなと感じました。
また同社のサイトにも書かれていますが、この商品はあくまでも「疑似的な3Dプロジェクションマッピング*」を実現するものであり、本質的な立体投影を行っているわけではありません。もちろんこのアイデア自体は素晴らしいものです。ただ、レビューサイトの多くに「3Dプロジェクションマッピングを実現する~」と書かれているのはいささか疑問を感じました。

また、過剰気味な映像が立体感を損ねてしまっているケースも散見されました。逆に、ガンダム本体のみにプロジェクションマッピングを行って、周辺のレリーフ部分に線画を当てるシーンでは、良好な立体感を得られており、次回作の初音ミクバージョンでは、ぜひともこの演出の進化を期待したいところです。

ただただレリーフ状の物に映像をオーバーレイさせるだけでは立体感を得ることはできず、逆に情報を絞り込むことで演出を際立たせることが出来る、その両方のケースをこの玩具は見せてくれました。

色々書きましたが、立体でコンテンツを見せる意義について、色々と考えさせてくれる知的玩具として価値のあるものだったと感じました。


*この製品は、ガンダムのレリーフの前部に、ハーフミラーを斜めに立てかけ、上から映像を投影する。これをレリーフ正面から眺めると、ハーフミラーに反射した映像と、奥のレリーフが重なって見えるため、「疑似的に」レリーフと映像が重なって見える。つまりレリーフの上に直接映像を投影しているわけではないが、オプチカルプリンタの原理を用いて疑似的なプロジェクションマッピングを実現した玩具と言える。




2014年5月8日木曜日

メモ:卓上CTスキャナが開発中とのこと


 http://gigazine.net/news/20131025-opensource-desktop-ct-scanner/

メモ代わりに貼っておきます。個人向けとの事なのであまり出力は高くないと思われますが、こうした試みは重要だと思います。Arduinoで制御するというDIY感覚も大好きです。

検出器などの部品がなかなか手に入らずに苦労したとの事ですが、民生品を組み合わせながら時間をかけて実現した様子がうかがえます。これぞマクガイバリズム。

2014年5月7日水曜日

(御礼)連合大会2014終了しました



今年も無事連合大会が終了しました。
私は主にGSJブースの出展と、アウトリーチセッションの座長を担当させて頂きました。時間的な余裕も少しだけあったので、自分の発表も行い、実りの多い学会となりました。

とはいえ、なかなか他のセッションを聞きに行くほどの余裕までは無かったのですが、ジオパーク関連のセッションに加え、UAVを用いたリモートセンシングのセッションもあり、非常に多彩な発表がなされていました。

UAVのセッションでは民生品のマルチコプターを用いた斜面崩壊の観測などを中心に、将来的には3Dプリンタを活用した取得データの可視化や検討方法などについても議論されており、興味深いセッションでした。

加えて、リモートセンシングに特化したマルチコプターの運用方法やメンテナンスに関するノウハウについてもかなり情報が蓄積されつつあるなと感じました。
セッション会場では防災科学技術研究所の別刷が配られていたので、引用しておきます。

内山庄一郎・井上 公・鈴木比奈子 (2014) SfMを用いた三次元モデルの生成と災害調査への活用可能性に関する研究. 防災科学技術研究所研究報告, 81,37-60.

井上 公・内山庄一郎・鈴木比奈子  (2014) 自然災害調査研究のためのマルチコプター空撮技術. 防災科学技術研究所研究報告, 81,61-98.


アウトリーチセッションでは、HiRPの活用例などについても発表して頂きました。勝山ジオパークの方々ありがとうございました。

ポスター会場では模型の展示を行いましたが、アジア航測の千葉さんのアイデアで溶岩の流下実験を行った所、地質図の通りに溶岩が流下するという驚きの結果を得ました。アナログ実験とプロジェクションマッピングを同時に行うというのも新しい試みでした。

懇親会でも、立体模型を活用した情報の可視化や、教育防災などについて熱い議論が交わされ、かなりのアイデアを貰うことができました。やはり勢いのある方々と定期的にお会いしてエネルギーを充填するのは非常に大事だと感じた会でした。

皆様有難うございます。近いうちにまたお会いしましょう!

2014年4月30日水曜日

連合大会2014出展中



更新が滞っておりまして申し訳ありませんでした。

今週月曜日(28日)より、パシフィコ横浜にて行われている日本地球惑星科学連合大会2014に出展しております。
今回は、産総研のブースとポスター会場ブースの2か所に模型を出展しました。
産総研ブースのメインは、公開されたばかりの富士山火山地質図第二版、そしてポスター会場では積層型立体模型の改良型を展示しております。

ポスター発表は終了しましたが、産総研ブースは最終日(2日)まで模型の展示を行っておりますので、ぜひご覧ください。

今回、発表会場で模型のデモを行った所、予想以上の嬉しい反響を頂きました。
また、(株)アジア航測の千葉さんのご厚意により、HiRPを使った溶岩流のアナログ実験を行った所、非常に興味深い実験結果が得られましたので、近日中にご報告いたします。


2014年4月16日水曜日

GSJ地質ニュース4月号にG空間EXPOの様子が掲載されました

該当記事はリンク先の最後のページです。

GSJ地質ニュースの4月号が公開されました。
今号では、G空間EXPO2013での受賞の様子が掲載されています。
たまたま会場にGSJの方がおられて、写真撮影と記事の執筆をして下さいました。
なんともユルみきった顔で写っていて困ったものですが、嬉しさゆえですのでご容赦ください。


写真撮影を記事の執筆をして下さった地質調査情報センターの岩男さんに心からお礼申し上げます。

2014年4月2日水曜日

(動画)防水クアッドコプターが既に存在していた!

クアッドコプターを始めとするUAVを運用する際に気になっていたのが、防水性の有無についてでした。

UAVに搭載するカメラは、Goproなどの防水・耐衝撃カメラが主流になりつつありますが、UAV本体の防水機能については余り話題になっていません。しかしながら、湖や河川などを含む地域でパーソナルリモートセンシングを実施する場合、UAVが水面に墜落する可能性は十分考えられます。

しかし下記の製品であれば、そういった問題にも対処できそうです。



動画を見る限り、防水・防塵性能共に問題ないようですね。砂漠の調査などにも対応できるかと思われます。パワーにも余裕があり、Goproを楽々持ち運べるそうです。

公式サイトではGPSモジュールやNAZA-M(自動操縦モジュール)などの追加パーツも販売されていることから、座標情報をもとにした自律飛行も可能なようです。本体価格は350ドルなので、一般的なクアッドコプターとほぼ同程度の価格帯でしょうか。ただ、操縦系統に関する情報が無いのが気になります。Wifiでの操縦を受け付けてくれると最高なのですが。

ともあれ、フィールドワークは常にエクストリームスポーツと言ってよい状況にさらされますので、こうした機器が販売されているのは非常に喜ばしいことです。

2014年3月20日木曜日

国土地理院の、「地理院地図3D」データ配信について


 国土地理院の公式サイトから、3Dデータの配信が開始されました。
 これまで、こういった学術情報のデータ配信に関しては、主に海外のニュースを中心にお伝えしていましたが、国内でのこのような動きがスタートしたのは非常に喜ばしいことです。

 既に数年前から、地理院では基盤地図情報という形で、5mや10mメッシュといった高解像度の標高データを配布していましたが、これを使うにはある程度の専門知識が必要となりました。
 しかし今回はボタン一発で3Dモデルが作成できるという手軽さ、端末での閲覧から3Dプリンタでの出力にまで対応しているデータの多様さなど、非常にユーザーフレンドリーな設計になっています。
 
 また「地理院タイル」と呼ばれるテクスチャを使用する事で、様々な景色を表現する事も可能になっています。唯一残念な点は、現在使われているフルカラーの3Dプリンタは解像度が低く、これらの優れたテクスチャを詳細に表現できないことでしょうか。これは3Dプリンタ側の技術向上を待ちたいところです。

 そうなってくると、やはりHiRPで高解像度のモデルを作ってみたいという欲求が湧き上がってきます(笑)。地理院タイルを切替えながら投影する事で、刺激的なコンテンツになるでしょう。一日も早く作ってみたいと思います。
 
 

2014年3月17日月曜日

 『薄片でよく分かる岩石図鑑』刊行のお知らせ



 岩石薄片とは、岩石を厚さ30μmにまで薄く均一に研磨した試料の事をいいます。
 薄く加工された岩石は光を通す性質を持ち、これを偏光顕微鏡と呼ばれる特殊な顕微鏡で観察する事で、結晶の光学的性質と、岩石の種類や性状について分析する事が可能となります。

 本書では、世界トップレベルの薄片作製技術を持つ地質標本館の試料調製グループが作製した薄片の顕微鏡写真を中心に、その元となった岩石の写真と解説、薄片から読み取れる情報、最新の薄片作製技術の紹介、家庭での簡易薄片の作り方など、非常に多くの情報が盛り込まれています。

 私は、堆積岩の項目を中心に執筆させて頂きました。元々が古生物学専門なので、どうしても化石を中心とした解説になってしまいましたが、堆積岩の薄片から古環境を読み取る作業はとても魅力的で、少しでもその雰囲気を皆さんにお伝えできていればと思います。

 偏光顕微鏡による薄片観察は非常に手のかかる作業で、学生時代に心が折れそうになる人も結構いる(私もその一人)ですが、本書は顕微鏡の操作方法や観察のポイントなどについても分かりやすく解説されており、この本をきっかけとして一人でも多くの方が薄片観察の楽しさに目覚めて下されば幸いです。

 こうした素晴らしい書籍に微力ながら関われたことを非常に光栄に思います。共著者の皆様には心からお礼を申し上げます。

 なお、一般書店での販売も行われているようです。ご興味のある方はぜひご覧ください。


2014年3月15日土曜日

【動画あり】Kinectとクアッドコプターを用いた3次元計測



これまでもUAVやロボットを用いた3次元計測については何度かご紹介してきましたが、また面白いものが出てきたので、リンクしておきます。

http://japanese.engadget.com/2011/04/01/kinect/

今までのものはGPSを搭載したクアッドコプターで対象物を撮影し、そこから3Dモデルを合成するという手法がメインでした。しかし今回の物は、以下の方法で計測するのがポイントです。

・Kinectセンサーを用いたリアルタイム計測
・GPSを用いず、Kinectと画像解析のみで自律飛行を行う。

これによりGPSが使用できない環境でも計測が可能となっています。屋内や森林、谷深い場所での露頭撮影などに威力を発揮するのではないでしょうか。

ユビキタス社会が提案されて久しいですが、フィールドワークにおいてGPSやネットワークが常に使用できるとは限りませんので、こうしたスタンドアローンでの計測が行えるシステムは歓迎したいですね。

2014年3月4日火曜日

プロジェクションマッピング記事(Yahoo)

http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/wxr_detail/?id=20140304-00035032-r25

Yahooのニュースにプロジェクションマッピング関連のニュースが出ています。
結婚式などのイベントでの活用方法などについて紹介されているようです。
 
しかしやはり、エンタメの話題が中心になりがちだなーという印象があります。
もっと博物館関連の情報発信を頑張らねば・・・。

2014年2月26日水曜日

JSTポータルサイト「オピニオン」寄稿

科学技術振興機構(JST)のポータルサイトにある「オピニオン」というコーナーへ寄稿しました。

3Dプリンタを始めとする三次元造型技術の現状と、博物館での応用、G空間EXPO2013での事などについて書いてくださいとの事でしたので、様々な分野を網羅した結果、非常に長い文章となっております。他の方の記事と比べると2倍ぐらいになってしまいました。もう少しコンパクトにまとめれば良かったかと反省しております・・・。

お声をかけて頂いたJSTの担当者様に、この場を借りてお礼申し上げます。
もしご興味がありましたらご覧ください。





2014年2月19日水曜日

HiRP(富士火山地質図バージョン)

昨年7月に行われたIAVCEI2013にて展示された、富士山の立体模型に関する記事がリリースされました(GSJ地質ニュース2月号, PDF)。

このモデルは産総研・火山活動研究研究グループの方々と共同開発したものです。
投影している画像は、
・等高線のラインデータ
・国土地理院5万分の1地形図
・富士火山地質図(全噴出物、試作版)
・富士火山地質図(過去2000年間の噴出物、試作版)
・ASTER衛星画像
です。

このバージョンから、ポリゴンの密度調整を行うことで、等高線のエッジをくっきりと際立たせる処理を行っています。このことで、等高線の厚みをこれまでよりも薄く、しかしはっきりと視認できるレベルに加工することが出来るようになりました。等高線の段々が薄くなればより自然な地形に仕上げる事が可能です。

リンク先に、高画質の写真が掲載されていますのでご覧ください。
なおポリゴン密度の調整に関しては、この後に作った蔵王、そして磐梯山のモデルで更に高度化し、より自然な地形が表現できるようになりました。これについては別の記事で報告する予定です。

2014年2月16日日曜日

【動画あり】筑波山の塗り絵教材と、ジオパーク授業


茨城新聞ニュース:筑波山系の地質学ぶ 専門家がジオパーク授業 石岡・杉並小(2014/2/14)




 筑波山の立体地質図をテーマとした教材が石岡市の小学校で使われ、その様子が茨城新聞のサイトに掲載されました。

今回の教材は、諸事情により砂絵形式にできなかったため、初の塗り絵バージョンとなりました。
しかし砂絵と比べて構造がシンプルであることから、より細かい地質区分を設定することができました。
 
 教材に描かれた筑波山は、石岡市内の恋瀬橋(下記地図)から見た筑波山の風景をカシミール3Dでシミュレートし、画像処理で塗り絵化したものです。前回の砂絵と比べて地質的な構成要素が非常に多くなっています。
 授業ではまず地質図の凡例と色の塗方だけを教え、塗り絵が完成した時点で、岩石標本を見せながらそれぞれの地質について解説したとの事です。

 非常に嬉しかったのは、生徒さんたちが塗り絵を作る段階で、奥側の山地、手前の低地、そして中間にある筑波台地の地形を自発的に理解してくれていたと聞いた事でしょうか。副次的な効果ですが、図面を3Dで可視化するもっとも大きなメリットが表れていたようで、製作者としては嬉しい限りです。
  立体物が持つ情報量と、それを用いる意義について、認知科学や教育科学の観点から、定量的に評価する研究を急がなければならないと強く感じた出来事でした。


 今回、石岡市役所の方々は非常に精力的に活動してくださいました。動画の冒頭に出てくる立体模型の製作や、授業でも活躍して下さっています。


大きな地図で見る


2014年2月11日火曜日

イベント予告:ジオネットの日2014 at つくばエキスポセンターほか

 
「ジオネットの日」と「ジオパークパネル展」

日時: 平成26 年2 月23 日(日) 10:00 ~ 16:30
場所:  つくばエキスポセンター 1F イベントスペース
参加の募集方法:  当日受付 
参加費:  無料(入館料は別途必要)


 今年もジオネットの日がやってまいりました。予告ページには既に「3Dもけい」の文字が躍っておりますが、まだ準備に取り掛かったばかりです。筑波山のHiRP模型も既にあちこちで公開しましたので、そろそろ新しいバージョンを作らなければと思っておりますが、他の模型の開発に3Dプロッタを占有されてなかなか時間がとれず・・・困ったもんです。せめて投影用の画像については新しいものを用意できればと思っています。

 この他にもエキスポセンター館内での化石探しツアーや、つくばセンター石めぐりツアー、化石レプリカ作りなど、地学関係のイベントが盛りだくさんですのでぜひお越しください。

 また、筑波大生によるジオネットアースの企画も行われるようです。毎回意欲的なイベントを立ち上げているので、こちらも楽しみです。





 

2014年1月30日木曜日

地学教材 「蔵王 見たまま砂絵で地質図」開発のお知らせ (GSJ地質ニュース記事)



 前回、こちらの記事で砂絵を素材とした地学教育についてご紹介しました。イベントで使ってみたところ好評でしたので、シリーズ化できるといいな~と何となく考えていましたが、本当に第2弾が出てしまいましたよ。

 今回のテーマは「蔵王」です(紹介記事)。
 蔵王の中央部に位置する「御釜(おかま)」と呼ばれる火口湖周辺の地質を、刈田岳から見下ろした構図の砂絵です。これまでの砂絵は、既存の地質図を3D地形データにテクスチャマッピングする方式で作成していましたが、今回は対象地域の地質を詳細に描画するため、火山関係の研究者の皆様にご指導いただきながら、新しい3D地質図を作り起こしました。

 この教材は昨年9月に台市科学館で行われた「地質情報展 2013 みやぎ」にて初使用されました。会場ではHiRPシステム(精密立体模型)も公開し、バーチャルジオツアーも行いました。元々HiRPの展示は、実際の景色を見ながら砂絵を作成するのが立地条件的に困難な場合に備えて行うものでしたが、これからは教材の作成とHiRPによるジオツアーをセットで行うのが恒例となりそうです。

 この砂絵シリーズですが、既に筑波山をテーマとした第3弾を作成中です。今年の春にはお披露目になるかと思います。

 最後に、本教材の立案と、地質図作成に関してご指導いただいた山形大学および産総研火山活動RGの方々、そして前回に引き続き、ソフトウェアの使用に関してご快諾頂いたカシミール3D作者のDAN杉本氏に深くお礼を申し上げます。

2014年1月20日月曜日

プロジェクションマッピング玩具 「ハコビジョン」 PV




先月の記事で、スマホを使ったプロジェクションマッピングを手のひらサイズで実現する、バンダイ製の「ハコビジョン」についてお伝えしましたが、Youtubeのプロモムービーが更新されていましたのでリンクします。

その他にも、ビデオブロガーの方がこの製品を実際に使っている詳細なレビュー動画があったのですが、著作権等の諸事情によりリンクは差し控えさせていただきます。しかしYoutubeで「ハコビジョン レビュー」と検索して頂ければすぐに見つかると思います。

この製品は、プロトタイプ版が東京国立博物館で行われた特別展『KARAKURI』とも連動しており、博物館グッズの新しい展開を感じさせるものでもありました。

プロジェクションマッピングについて詳しい方は、投影の精度などを気にされるのではと思うのですが、位置合わせ用のガイドが付属しており、投影用の映像もスマホ画面の大きさに合わせたものを複数用意しているので、玩具として楽しむ分には問題ない精度のようです。このあたりの様子は、上記の公式PVやレビュー動画を見て頂ければお分かりいただけるかと思います。

なお、次作のハコビジョンはガンダムがテーマだそうです。人型のフィギュアにどのようなプロジェクションを施すのか、興味深い所です。

2014年1月10日金曜日

G空間EXPO2013 会場の様子 (ちずらぼ様 引用)


 G空間EXPO2013のサイトが更新されました。会場のムービーや、来場者数などが公開されています。来場者は合計17,584人だったそうです。盛況でしたね。

 地図関係の情報発信で有名な「ちずらぼ」様がブログにて会場の様子を克明にレポートして下さっています。転載の許可をいただきましたので、こちらに引用させて頂きます。ちずらぼ様、どうもありがとうございました。

ちずらぼのちずらぶ 「G空間EXPO2013~最終日」
http://plaza.rakuten.co.jp/chizulove/diary/201311170000/

 会期中は出展者側だったこともあり、会場の様子をなかなかレポートできませんでしたので、こうした正確な記録を残していただけることは本当に助かります。一部、引用しますと

引用ここから----------------------------------------------------------------------
優秀賞は「Personal Cosmos プロジェクトチーム」による「Personal Cosmos 〜 地球データの新しい可視化の形」。
そして産業技術総合研究所地質標本館の「精密立体地質模型による地形情報・地質情報の可視化と,博物館やジオパーク等での活用」の2作品。
いずれもシステムではなく「モノ」があることが興味深かった。
引用ここまで----------------------------------------------------------------------

 システムだけではなく「モノ」に対して注目して頂いたというのはとても嬉しいことでした。パネルディスカッションでもこのことについて議論されていましたね。やはり3Dプリンタを始めとする造型機や、もの作りなどといったハードウェア関する関心がこれまでになく高まっている証拠かと思われます。
 ディスカッションの最後では恐ろしい指摘もありまして、「前年度のGeoアクティビティフェスタに出展された技術が、今年は珍しいものでは無くなっており、恐らく来年も同様だろう」とのことでした。昨今のモデリング技術の共有や、CGMの発達スピードを考えると、こうした傾向が珍しいものでは無くなってゆくかもしれません。今後の展開が楽しみです。






2014年1月9日木曜日

スミソニアン博物館の3Dデータ配信

 昨年、こちらの記事で英国地質調査所の3Dデータ配信についてお伝えしましたが、かのスミソニアン博物館でも昨年11月より「Smithsonian X 3D」というサイトで試験的に3Dデータの配信を開始しています。スミソニアンと言えばとにかく収蔵品が多いことで有名ですが、将来的には同館にある1億3000万点以上に及ぶ収蔵品を全て3Dデータ化するとのことです。

 どこの博物館でも同じことですが、展示室に出ているのは収蔵品のごく一部であり、収蔵庫にある標本のほとんどはバックヤードツアーなどでしか見る事が出来ません。しかし、そういった普段人目に触れる機会のない標本もこうしてデータ化していつでも閲覧できる状態にするというは非常に意義深いことだと思われます。将来的には、博物館に標本を納入する際、同時に3Dデータも取得してしまうという作業が当たり前のように行われる事でしょう。初期の状態のを記録し、経年変化を見るうえでも役立つと思われます。X線CTによる元素マッピングなども併用すれば、より便利ですね。

こちらのサイトからユーザー登録をすることで、stl形式の3Dデータもダウンロードできます。3Dプリンタをお持ちの方は、是非出力に挑戦してみてください。
参考までに、イルカの頭骨の化石をstlビューワで読み込んだ様子をお見せします。stlビューワはHira Stl viewerがおススメです。




2014年1月5日日曜日

新年のご挨拶と、模型の正式名称(HiRP)につきまして

 

 皆様

 新年あけましておめでとうございます。
 昨年は、とても多くの方々にお世話になり、それが大きな結果につながった1年でした。本当にありがとうございました。
 今年は模型システムがいよいよ応用段階に入る年になりそうです。これまでお世話になった皆様に少しでもご恩返しできれば幸いです。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、模型システムの応用と普及に関してちょっとした障害となっていたのが、「精密立体地質模型」という、とっつきにくい名称でした。これは私が模型の実用試験を始めた時に仮称として名付けたものですが、Facebookなどでも名前が覚えづらいというご意見を何度か頂いており、出来るだけ早く馴染みやすい愛称を考えなければと思っておりました。

 そこで今年から、このシステムを「ハープ(HiRP)」と呼称することにします。HiRPとは
Highly Realistic Projection もしくは
High-Resolutional Projection の略称です。

 今後は投影模型を「HiRP模型」や「HiRPシステム」と呼称する予定です。また模型の各バリエーションを以下のように呼んではどうかと考えています。
・L-HiRP (Layered HiRP、積層型して地下の構造を見せるタイプ)
・I-HiRP (Interactive HiRP、GISと連動するインタラクティブタイプ)
・P-HiRP (Personal HiRP、個人で運用するモバイルタイプ)        等々

 
 既に一部でこの名称を使いはじめておりますが、一音節で発音しやすいこともあり、なかなか好評です。2014年をHiRP元年と位置づけ、より新しいシステムの開発と普及につなげる予定でおります。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

Share

Twitter Delicious Facebook Digg Stumbleupon Favorites More