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2014年8月20日水曜日

ibeaconと位置情報を用いた、博物館・科学館におけるコンテンツ配信


現在、空間情報に携わる人々の最大の関心事の一つが「屋内における位置情報の提供」です。

昨年のG空間EXPOGeoアクティビティフェスタで新潟大学の牧野研究室が開発した「可視光通信とGPSによる高精度屋内外案内システム」が最優秀賞を受賞したことからも、こうした分野に関する関心の高さが伺えます。

こうした中、アップル社製iOS7に搭載された位置情報に関する新機能の一つとして話題になっているのが"iBeacon"です。これはBluetooth Low Energy(BLE)と呼ばれる近距離無線規格の一種を用いた屋内における位置情報サービスで、特定のエリア内に置かれたビーコン発信機との距離関係およびIDをもとに、ユーザーに合わせた情報を配信するものです。

これを使えば、店舗内の特定の位置にユーザーが来たタイミングで、そこに置かれた商品の情報を的確に配信することが可能で、場合によってはユーザーごとにカスタマイズした情報をスマホなどに表示させることも考慮そているようです。(*映画好きの方であれば、2002年に公開された「マイノリティリポート」で描写された、ユーザーごとにカスタマイズされたデジタル広告と言えばイメージが
掴めるでしょうか)。

これまで、無線LANを使用して同様の機能を実現した例はありましたが、消費電力の少ないBLEを使って高精度の位置情報を提供するiBeaconは、より手軽にこうした環境を普及させることが出来るでしょう。この機能は博物館や科学館における情報配信にも応用が期待されます。

2日前のニュースで、八景島シーパラダイスが館内に40箇所のビーコン発信器を設置し、iBeaconを駆使して水族館の生物に関する情報を配信していると告知されました8月18日から9月30日までの限定イベントですが、これが上手くいけば、常設展示にこうしたシステムを組み込んでゆく事も考えられるでしょう。AndroidとiOSの両方に対応しているというのも好感が持てます。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20140818_662402.html

これまでスマホのBluetooth機能はバッテリーを著しく消耗させるため、これを嫌ったユーザーが機能をオフにしているケースが良く見られました。しかしBLEは省電力設計となっているため、これからはbluetoothを常時Onにして、屋内位置情報を基にユーザーがシームレスに情報を受け取れる環境が整いそうです。

またビーコンの発信器側も非常に消費電力が少なく、バッテリーで数年間駆動するタイプもあり、また単価が低いことから今後急速に普及することが予想されます。

ユニークな例としては、9月の「東京ゲームショウ2014」に出展される予定の座布団型iBeacon発信器があります。これは人が座っているか否かを位置情報と共に発信する座布団で、飲食店の空き状況や座席管理、また時間ごとの顧客数の推移をモニタリングするのに役立つと期待されているようです。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20140715/1059104/

こうした位置情報と、それに付随する様々なパラメータを一元管理する事で、博物館でも様々な応用が可能となるでしょう。例えば入館者の推移や導線、どのコンテンツが人気があるのか・・・など、解析が可能となるかもしれません。ただ、個人情報を思いきり覗くことになるので、そうした方面の配慮は必要になりそうです。

いずれにしても八景島シーパラダイスの野心的な挑戦に期待大ですね。

追記:8月の終わりにシーパラダイスを訪問してみましたが、残念ながらiBeaconのコンテンツを見ることは出来ませんでした。何かの理由で公開できなかったようです。残念でした。

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