今回執筆した「化石観察入門」には、様々な事情で収録できなかった原稿や、ボツになったテーマ、こぼれ話などが多数存在します。
そこで、こうした話題を「化石観察入門サプリメント」と題して、書き溜めて行こうかと思います。
これらの原稿を、書籍として発表する日を夢見ながら。
第1回は、オマーンの調査についてです。
この調査は2012年の1月末から2月上旬にかけて行われたもので、オフィオライトと呼ばれる海洋プレート断面の地層を探しながら、オマーンの砂漠を車と飛行機を使って数百キロにわたり走破したものです。
オフィオライトは上から順番に、化石を含む海底堆積物、枕状溶岩などからなる溶岩層、シート状の岩脈、斑レイ岩、かんらん岩から構成される地層です。このうち、海底堆積物からはんれい岩までが海洋プレートの地殻であった部分で、かんらん岩は海洋プレートのマントル部分に相当します。はんれい岩とかんらん岩との間には、地殻とマントルの境界である「モホロビチッチ不連続面」も観測できます。
こうした地層がなぜオマーンで観察できるのかというと、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む際に、海洋プレートの一部が陸側に乗り上げたものが、オマーン北部のハジャール山脈沿いに分布しているからと考えられています。オマーンのオフィオライトは幅80km、長さ500kmにもわたって分布しており、世界最大規模を誇ります。ちなみに日本国内でも北海道や北陸などで、オフィオライトの露頭を観察することが出来ますが、これについてはまた別の機会にお話しします。
オマーン国内にはオフィオライトの最上部だけでなく、様々な場所に海底堆積物が残されています。その一部が、書籍内で紹介した厚歯二枚貝、ウニ類、そして大型有孔虫であるヌムリテスだったわけです。
これらの化石を含む露頭はどれも圧巻でしたが、中でも印象に残ったのがDuqmストーンパーク内で目にしたウニ化石でした。ストーンパーク内にはノジュールと呼ばれる球形の岩石が点在しています。岩石の直径は数十センチから数メートルと様々ですが、その表面からウニ化石が飛び出しているのです。
ウニ化石は珪化しており、母岩から九割がた飛び出しているものも見られました。
なぜウニ化石だけが選択的に保存され、ノジュールの外に飛び出すようにして完全な形を保っていたのか?今もって謎は解けていません。
そこで、こうした話題を「化石観察入門サプリメント」と題して、書き溜めて行こうかと思います。
これらの原稿を、書籍として発表する日を夢見ながら。
第1回は、オマーンの調査についてです。
この調査は2012年の1月末から2月上旬にかけて行われたもので、オフィオライトと呼ばれる海洋プレート断面の地層を探しながら、オマーンの砂漠を車と飛行機を使って数百キロにわたり走破したものです。
オフィオライトは上から順番に、化石を含む海底堆積物、枕状溶岩などからなる溶岩層、シート状の岩脈、斑レイ岩、かんらん岩から構成される地層です。このうち、海底堆積物からはんれい岩までが海洋プレートの地殻であった部分で、かんらん岩は海洋プレートのマントル部分に相当します。はんれい岩とかんらん岩との間には、地殻とマントルの境界である「モホロビチッチ不連続面」も観測できます。
こうした地層がなぜオマーンで観察できるのかというと、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む際に、海洋プレートの一部が陸側に乗り上げたものが、オマーン北部のハジャール山脈沿いに分布しているからと考えられています。オマーンのオフィオライトは幅80km、長さ500kmにもわたって分布しており、世界最大規模を誇ります。ちなみに日本国内でも北海道や北陸などで、オフィオライトの露頭を観察することが出来ますが、これについてはまた別の機会にお話しします。
オマーン国内にはオフィオライトの最上部だけでなく、様々な場所に海底堆積物が残されています。その一部が、書籍内で紹介した厚歯二枚貝、ウニ類、そして大型有孔虫であるヌムリテスだったわけです。
これらの化石を含む露頭はどれも圧巻でしたが、中でも印象に残ったのがDuqmストーンパーク内で目にしたウニ化石でした。ストーンパーク内にはノジュールと呼ばれる球形の岩石が点在しています。岩石の直径は数十センチから数メートルと様々ですが、その表面からウニ化石が飛び出しているのです。
ウニ化石は珪化しており、母岩から九割がた飛び出しているものも見られました。
なぜウニ化石だけが選択的に保存され、ノジュールの外に飛び出すようにして完全な形を保っていたのか?今もって謎は解けていません。
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