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2013年10月1日火曜日

地学教材「見たまま砂絵で地質図」シリーズの開発について

  GSJ地質ニュースの9月号が公開されております(https://www.gsj.jp/publications/gcn/)。今号では、今年の初めから開発を進めている児童向けの砂絵教材に関する口絵と解説の記事を2本、書かせて頂きました。砂絵の画像や詳細な利用方法等につきましてはリンク先をご参照ください。
https://www.gsj.jp/data/gcn/gsj_cn_vol2.no9_259-260.pdf
https://www.gsj.jp/data/gcn/gsj_cn_vol2.no9_279-281.pdf

簡単にご説明しますと、本教材はシール用紙に筑波山の立体地質図が印刷されており、各岩体部分のシールをそれぞれ用紙から独立して剥がせるようになっています。シールをはがすと下の台紙部分に塗られた糊が露出するため、ここに色砂を撒けば簡単に地質図の砂絵が完成します。さらに地質図の判例部分にも同じように砂を撒けるため、岩体と判例の砂を統一させる事が可能で、地図や地質図の読み方を工作しながら学べるという仕掛けになっています。

砂絵教材の開発は、地質図をいかにわかりやすく立体的なイメージを持って伝えられるか、をテーマに今年の2月からスタートしました。もともと地質標本館のOBの方の発案によるものでしたが、それを私が引き継ぐ形となりました。3月のイベントで使用することが決定していたために時間も少なく、実質的な作業時間が一週間しか取れない状況でした。

私自身、こういった教材の開発というのは初めての経験でして、所内の方々のご意見を頂きながら試行錯誤を繰り返しました。更にこの教材は、シールを剥がす仕組みになっているため、台紙の所々に刃物で薄く切り込みを入れる必要があり、その為の刃物の選定や調整等について、印刷所の方々には大変なお手数をお掛けしました。

砂絵で地質図、というコンセプトが果たして受け入れられるのかどうか非常に不安でしたが、幸いにもエキスポセンターや市内のイベントでは好評で、特につくばフェスティバルでは300部以上が消費されました。この教材は、完成した砂絵を手に実物の筑波山を観察するのが最良の方法なのですが、多くのイベントでは立体条件や天候の関係上それが困難であるため、次善の策として筑波山の精密立体地質模型によるバーチャルジオツアーを行いながら砂絵の砂絵を作っていただいています。

お陰様で続編の製作も決定し、9月に仙台で行われた地質情報展では第2弾となる「蔵王 見たまま砂絵で地質図」が公開されました。こちらも蔵王の精密立体地質模型とセットで出展され、2日間で400部が消費されました。

この教材は各地の博物館やジオパークでのアウトリーチには最適だと考えておりますが、シリーズ化出来るかどうかはまだまだ未知数の状態です。精密立体地質模型によるバーチャルジオツアーと併せて、普及に努めたいと思います。

最後になりましたが、開発にご協力いただいた方々、そして立体地質図の作図に利用した「カシミール3D」の作者であるDAN杉本さんに厚くお礼を申し上げます。

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