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2014年1月9日木曜日

スミソニアン博物館の3Dデータ配信

 昨年、こちらの記事で英国地質調査所の3Dデータ配信についてお伝えしましたが、かのスミソニアン博物館でも昨年11月より「Smithsonian X 3D」というサイトで試験的に3Dデータの配信を開始しています。スミソニアンと言えばとにかく収蔵品が多いことで有名ですが、将来的には同館にある1億3000万点以上に及ぶ収蔵品を全て3Dデータ化するとのことです。

 どこの博物館でも同じことですが、展示室に出ているのは収蔵品のごく一部であり、収蔵庫にある標本のほとんどはバックヤードツアーなどでしか見る事が出来ません。しかし、そういった普段人目に触れる機会のない標本もこうしてデータ化していつでも閲覧できる状態にするというは非常に意義深いことだと思われます。将来的には、博物館に標本を納入する際、同時に3Dデータも取得してしまうという作業が当たり前のように行われる事でしょう。初期の状態のを記録し、経年変化を見るうえでも役立つと思われます。X線CTによる元素マッピングなども併用すれば、より便利ですね。

こちらのサイトからユーザー登録をすることで、stl形式の3Dデータもダウンロードできます。3Dプリンタをお持ちの方は、是非出力に挑戦してみてください。
参考までに、イルカの頭骨の化石をstlビューワで読み込んだ様子をお見せします。stlビューワはHira Stl viewerがおススメです。




2014年1月5日日曜日

新年のご挨拶と、模型の正式名称(HiRP)につきまして

 

 皆様

 新年あけましておめでとうございます。
 昨年は、とても多くの方々にお世話になり、それが大きな結果につながった1年でした。本当にありがとうございました。
 今年は模型システムがいよいよ応用段階に入る年になりそうです。これまでお世話になった皆様に少しでもご恩返しできれば幸いです。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、模型システムの応用と普及に関してちょっとした障害となっていたのが、「精密立体地質模型」という、とっつきにくい名称でした。これは私が模型の実用試験を始めた時に仮称として名付けたものですが、Facebookなどでも名前が覚えづらいというご意見を何度か頂いており、出来るだけ早く馴染みやすい愛称を考えなければと思っておりました。

 そこで今年から、このシステムを「ハープ(HiRP)」と呼称することにします。HiRPとは
Highly Realistic Projection もしくは
High-Resolutional Projection の略称です。

 今後は投影模型を「HiRP模型」や「HiRPシステム」と呼称する予定です。また模型の各バリエーションを以下のように呼んではどうかと考えています。
・L-HiRP (Layered HiRP、積層型して地下の構造を見せるタイプ)
・I-HiRP (Interactive HiRP、GISと連動するインタラクティブタイプ)
・P-HiRP (Personal HiRP、個人で運用するモバイルタイプ)        等々

 
 既に一部でこの名称を使いはじめておりますが、一音節で発音しやすいこともあり、なかなか好評です。2014年をHiRP元年と位置づけ、より新しいシステムの開発と普及につなげる予定でおります。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

2013年12月26日木曜日

ご報告2件 (地質標本館での立体地質模型展示と、G空間EXPO以降の状況)

 ブログを3週間も放置してしまい、誠に申し訳ありません。

 富士山の精密立体地質模型が、12月から地質標本館の第三展示室にて常設展示されていただけることになりましたので、ご報告いたします。この模型は今年の7月に鹿児島で行われたIAVCEI2013(国際火山学地球内部化学協会)での展示用に開発したもので、その後各地の展示会を転々としながら、G空間EXPOを経てようやく安住の地に落ち着いたところです。第三展示室の入り口からみて左奥にある、火山模型コーナーに展示してありますのでぜひご覧ください。
 この富士山模型は、これまでに開発したものの中では2番目に精度の高い模型になります。ちなみに現時点で最も精度が高いモデルは、9月の地質情報展みやぎで展示した蔵王の模型です。富士山や蔵王の模型の開発を通して、また色々と新たな開発アイデアが沸いてまいりましたので、来年度以降はより高精度なモデルをお見せできるように努力します。





 さて、おかげさまでG空間EXPOが終了してからの一か月間、大変多くの反響を頂いており、嬉しい悲鳴を上げております。特に論文や報告書、そしてサイエンスポータルでの記事のご依頼が多く、現在はその執筆に追われているところです。これらについては年明けから順次リリースしていく予定ですので、詳細な公開時期が決まり次第、改めてこのブログでご報告します。

 Geoアクティビティフェスタのパネルディスカッションでも話題になっておりましたが、今年はミニチュアや球体ディスプレイ、そしてロボットなどのハードウェアを介した情報発信が注目された年でした。来年はこの流れを受け、CGによる平面的な情報発信から一歩進んだ、「触れる」展示、そしてユーザーの入力に対して情報を返してくるインタラクティブな展示が注目される年になると思います。

 2013年は研究からジオパークでのアウトリーチ、そして模型の開発などの方面で本当に多くの方々のお世話になった1年でした。改めまして、深くお礼を申し上げます。
来年もどうかよろしくお願いいたします。どうぞ良い新年をお迎えください。

2013年12月4日水曜日

GSJシンポジウムとプロジェクションマッピング記事

 先週末は東京八重洲で行われたGSJシンポジウムにて、精密立体地質模型の展示をさせて頂きました。
 今回のGSJシンポジウムは「アカデミックから身近な地質情報へ」をテーマに、地質情報配信の実際や文献データの検索について、更に電子国土省を受賞した「地質図navi」の解説、防災面での応用など話題が多岐に渡り、盛況でした。
 八重洲という土地柄、という訳でも無いとは思うのですが、東京駅で行われたプロジェクションマッピングについてご存知の方が多かったように思います。デモスペースで模型をお見せすると「おっ、例のやつですね」という反応を返して下さる方が多く、説明をスムーズに行うことができました。

 ところで、先月のTech総研に「プロジェクションマッピングとエンジニアの接点」という記事が掲載されていましたのでご紹介します。昨年の東京駅でのイベントから今年のダイオウイカ関連までを網羅した総括的な記事ですので、プロジェクションマッピングについて改めて知りたい方にもお勧めです。

 この他にも、今年はプロジェクションマッピングに関する話題が例年にも増して豊富でした。
 例えばバンダイからは食玩タイプの投影機材「ハコビジョン」なども発売されました。こちらは国立博物館の特別展時と連動しているのが大きなポイントでした。
 また、東京ミッドタウンで開催されたNHK Eテレの「デザイン あ展」でも動的なプロジェクションマッピングを多用した展示が話題となりました。

 来年からは、より動的な投影を行う展示が増えてゆくと予想されます。Kinectに代表される動態検知機器も普及していることから、ユーザーの動きに反応するインタラクティブなプロジェクションマッピングも一般化してゆくのではないでしょうか。

 個人的には、G空間EXPOで展示した、GIS連動タイプの精密立体地質模型をより進化させたいと思っています。また、プロジェクターに頼らない屋外用の可視化システムも開発開発し、ジオパーク等での巡検に使用できればと思っております。

2013年11月28日木曜日

無人航空機(UAV)を用いた高詳細3D地形データの取得 その2

  またロボットネタです…。
  ブログ名が「週刊化石少年」なのに最近化石の話を全くしないじゃないのという皆様の声も聞こえてきそうですが、現在執筆中の化石に関する書籍が入稿しましたらその話題で埋め尽くすと思いますので、今しばらくご容赦ください。

 ところで先日は産総研中国センターの一般公開に出展してまいりました。現地でご一緒した開発者の方に、前回のロボットに関する記事をお見せしながらお話していたところ、何とその方は「LEGO Mind Storms鉄人テクニック」を執筆されたJin Sato先生ご本人だったという衝撃の体験をしてしまいました。本書を含め、Jin Sato先生の書籍は水上ロボットを作る際に何度も拝読し、また先生が作られたJMM-TOOLというCAMソフトウェアを使って三次元造型の勉強もしました。

  まさに「釈迦に説法」をモロにやってしまった訳でして、穴があったら入りたいほど恥ずかしい思をしてしまいました。一生思い出しては赤面する事でしょう。最近は3Dプリンタを使ったロボット開発に力を入れておられるとのことで、設計や素材の選定などについて大変勉強させて頂きました。とても貴重な経験でした。

  さて、前回の記事で「民生用のUAVを使用した地形モデル作成をDIYする時代がすぐそこに…」などと書きましたが、既に実行している方がおられましたのでご紹介します。やはり未来に生きている人々は常に存在するという事ですね。




  上のサイトを見る限りでは、Ar. Droneにて撮影した写真と、Autodesk 123Dというソフトウェアを使って地形の三次元モデルを構築しているようです。Autodesk 123Dは下記の通り無償で公開されており、手軽に3Dモデルを構築する手段としては現在最も良い選択肢ではないかと思います。
http://www.123dapp.com/

  これに限らず、写真から三次元モデルを作成するソフトウェアは有償無償を問わず、非常に優秀なものが多々リリースされております。3Dプリンタなどの出力用機材はあるものの、3Dデータが用意できないという声が多く聞こえる現状を考えると、来年度はこれらのソフトウェアがより脚光を浴びるのではないかと思います。ノウハウが蓄積されれば面白い展開になりそうですね。

2013年11月17日日曜日

G空間EXPO Geoアクティビティフェスタ 優秀賞受賞

11月14日(木)~16日(土)にかけて、お台場の未来科学館にて行われた国交省主催の「G空間EXPO2013 Geoアクティビティフェスタ」に精密立体模型3台をブース出展しました。

お陰様を持ちまして、最終日にはなんと優秀賞をいただいてしまいました。
授賞式の様子はこちらこちらでご覧いただけます。

審査員の先生方からは主に下記の点を評価して頂きました。
・技術的な完成度が高い。
・デジタルの精度を保ちながら、アナログな表示方法を併用する事で情報にアクセスしやすい。
・プロアマを問わず、対象者に情報を分かりやすく伝えられる。

まさに私が開発段階で意識していた内容そのものでして、これが皆さんに伝わったということが何よりも嬉しく感じました。受賞自体も喜ばしいことですが、それ以上に沢山の素晴らしい方々との出会いがあり、大きな刺激を受けることができました。また新しいアイデアが色々と湧き出して来そうです。

授賞式の後は、審査員の先生方と受賞者とによる60分間のパネルディスカッションが行われました。日本の人口が減少する中で、将来の「小さな社会」に向けた国土情報に関するオープンデータのあるべき姿、またSNS等を積極的に利用した空間情報の共有や、ウェアラブル端末や三次元造型体を用いた情報の運用など多くの話題について話し合い、とても有意義でした。

学生時代にふとした思い付きで故障品の三次元造型機を購入し、立体地質図模型の開発を始めててから今年でちょうど10年目となりました。この節目となる年に、素晴らしい場で発表の機会を頂き、また栄誉ある賞を受賞できたことを本当に嬉しく思います。これを励みに今後より一層励みたいと思いますので、皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。


授賞式の様子
展示ブースの様子



2013年11月15日金曜日

G空間EXPO2013


14日(木)~16日(土)の3日間、お台場の科学未来館で行われているG空間EXPO2013に参加中です。
入場無料ですのでぜひお越しください。
私は企画展示ブースBで行われるGeoアクティビティフェスタに出展しています。
精密立体地質模型を3台設置し、プレゼンに臨みます。

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